お部屋の中につくる室内窓は、ただおしゃれなだけではなく、採光や風通しがよくなるなどのメリットもあります。
ただ、取り付ける場所をきちんと考えないと、せっかく付けたのに効果は半減、という可能性も。
この記事では、室内窓の基礎知識と、導入する際のポイントを、事例を交えて解説します。
目次
室内窓とは?
外に面した壁ではなく、室内の間仕切り壁などに設ける窓を室内窓と呼びます。
屋外に面した壁につくる窓は、屋外と屋内を仕切っていますが、室内窓は室内の空間同士を、つなぎながら仕切るのがその役割だと言えるでしょう。
奥の部屋まで光や風を取り入れるための、機能的なものから、インテリア性の高いものまで、さまざまなバリエーションがあります。
室内窓の種類
室内窓は大きく分けて、開閉窓とFIX窓の2タイプがあります。
開閉窓は、文字通り開け閉めが可能なタイプの窓。
一般的な両開き窓、押して上側に向けて開けられる突き出し窓、壁の上部に帯状の開口をつくって、下向きに開けられるランマ用窓の3種類が主流です。
FIX窓は、開け閉め不可の、固定された窓のこと。採光を確保したり、高所(吹き抜けなど)からの落下防止といった目的でも使われるものです。
普通の窓と同じガラスのほか、すりガラスを使ったり、割れたときの危険性を考慮して透明なアクリル板などをはめ込んでいる製品もあります。
室内窓のメリット・デメリット
室内窓を設置することによって、どんなメリットがあるのでしょうか。
まず挙げられるのが、開放感を演出できること。窓を設けることで空間に抜け感が与えられ、広々とした印象が強まります。
特に玄関や廊下、洗面所など、狭い空間の圧迫感を軽減したいときに効果的な手段です。
隣の部屋にいても家族の気配や、隣の部屋の雰囲気を感じられたり、ちょっと覗いて様子をうかがったり、コミュニケーションを取ることもできます。小さな子どもや、高齢の親など、行動や様子が気になるご家族のいる方にもぴったりですね。
北向きだったり、間取りの奥に位置する部屋は、外からの光が入らず暗い空間になりがちですが、室内窓で日当たりの良い部屋とつなげば、採光を確保しやすくなります。閉じられた空間を明るくするのにもおすすめです。
また、間取りによってはどうしても風通しの悪い部屋ができてしまいますが、通風を確保したり、換気をよくする手段としても、室内窓は有効に機能します。
また、インテリアのアクセントとして室内窓を捉えるのもいいでしょう。
屋外に面する窓ほど強度や劣化、性能(断熱性や防犯性)を考える必要はありません。
デザイン性重視で木製、鉄(アイアン)製の窓枠にしたり、ステンドグラスやガラスブロックなどを使うこともできます。インテリアのテイストに合わせてこだわってみましょう。
また、法的・資産的に室内窓が有効に働くケースもあります。
窓のない部屋を無窓居室といいます。
単純な無窓居室は法的にNGで、室内窓や出入口を常時開放できる引戸設置などの処置をするか、または部屋でなく納戸として使用するかになります。
また窓のない部屋は部屋とカウントできず、ウォークインクローゼットや納戸の扱いになます。そうなると室内窓があれば「1LDK」となりますが、窓が無い場合は「1R」扱いとなり、資産的・ローン審査的に不利になることもあります。
デメリットはメリットと表裏一体
デメリットとしては、部屋の中が隣の部屋や廊下から見えてしまい、プライバシーが確保しづらくなる点が第一に浮かびます。
また、光が入りやすくなることは、隣の部屋の明かりや音が漏れてしまいやすいということにもなります。
寝室のようなプライベート性の高い部屋では、避けたほうがいい場合も多いかもしれません。
プライバシー、光の問題は、カーテンなどである程度解決はできますが、メリットもその分小さくなってしまいます。メリットばかりを考えていると、かえって暮らしにくくもなりがちなので、デメリットも把握したうえで検討したいものです。
室内窓の取り付けには、壁を解体したりする必要もあるので、それなりの工事費用がかかります。小さいものでも数万円、大きくなると数十万円は必要。
位置や大きさによっては、デメリットがメリットを上回ってしまう可能性もありますので、慎重に検討してから決めましょう。
室内窓を取り付けるときのポイント
先ほど説明したように、室内窓には複数の役割があります。
全てを同時に達成するのは困難ですし、そもそもひとつの機能が果たされれば十分かもしれません。
まずは、採光のためなのか、開放的な部屋にしたいのか、目的意識をはっきりとさせましょう。そうすれば、おのずと必要性や位置、大きさ、開閉にするかFIXにするか、などのポイントが見えてくるはず。
生活同線や、室内のレイアウトにも配慮が必要です。
突き出し窓を使う場合、動線上に開いた窓が出ると邪魔ですし、うっかりぶつかったりすれば危険です。
窓の分、壁の面積が少なくなるので、棚やタンスなど、高さのある家具も置きにくくなります。不便な位置や、採光・通風・視線を家具が遮るようなことにならないよう、あなたやご家族のライフスタイルと突き合わせながら決めていきましょう。
ガラスは、開放感重視なら透明なもの、雰囲気や、ある程度のプライバシーを確保するならすりガラス、と使い分けるのがポイント。
集中したいワークスペースや書斎なら、音を防ぐために防音機能がある窓を使うのもいいですね。
小さな子どもがよく使う部屋は、もし割れてしまったときのことも考え、アクリル板など安全性の高いものにするのがベターです。
壁と構造の関係に注意
室内の壁は、単に間仕切りの役目を果たすだけではなく、物件によっては構造上の役割を担っているものもあります。
構造の一部となっている壁は、筋交いが入っていたり、躯体と一体的にコンクリートでつくられていたりします。
間取りの変更と同じく、むやみに穴をあけたり強引に撤去する、あるいは筋交いを撤去してしまうのは、耐震性を損ねてしまうためNGです。
リフォーム・リノベーションで室内窓を取り付ける際は、物件の希望の位置に室内窓が設けられるか、リフォーム会社に確かめてもらいましょう。
室内窓の事例紹介
ひかりのべのリノベーション事例から、おすすめの室内窓の事例を3つご紹介します。
リビングとつながったワークスペース
部屋の中心にワークスペースをつくったマンションのリノベーション事例です。小さな個室は圧迫感を感じる空間になりがちですが、室内窓によってリビングとの一体感を感じられる、開放的なスペースに。線路沿いという立地を考慮して、防音ガラスを採用しています。
光を自然の目覚ましに
寝室とリビングの間の壁に、採光のためにFIX窓を取り付けました。朝、リビングの窓から入ってくる光で、自然と目が覚めて生活リズムが規則正しくなったそう。窓は特注で、シャープなデザインが空間全体を引き締めています。
アメリカンヴィンテージなテイストを窓枠で演出
こちらも、寝室とリビングの間に室内窓を設けた事例です。突き出し型の開閉窓を取り付けて、換気をしやすくし、心地よく眠れる空間に。アメリカンヴィンテージなテイストのインテリアに、黒いシャープな窓枠がマッチして、デザインとしてもまとまりがよくなりました。
機能面でもデザインでも魅力的な室内窓。上手に取り入れて、住まいや暮らしの質を高めたいものです。
リノベーションのひかリノベは、室内窓をとりいれたリノベーション施工の事例も豊富です。
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