世界有数の長寿大国である日本。
年々、国民数に対する高齢者の割合は増え、主に65歳以上が介護する側にまわることを指す「老老介護」という言葉も使われるようになりました。
介護を必要とする高齢者家族のためにリフォームするのはもちろん、将来自分が歳をとったときのことも考えて、早めのリフォームを検討したいところ。
高齢者向けリフォームで大切なポイントは、介護される側と介護をする側どちらの負担も軽減し、不便なく過ごしやすい空間を整えること。
「どこをどのようにリフォームすればいいの?」
「費用の負担を減らす補助金制度には、どんなものがあるの?」
そんな疑問や不安を感じているあなたに。
お部屋ごとに押さえるべきリフォームのポイントと、高齢者向けリフォームで利用できる補助金制度について解説します!
目次
高齢者向けリフォームを検討すべき箇所
高齢者向けリフォームで思いつくのは、手すりをつける、バリアフリーを取り入れるといった方法でしょう。ここでは、ご家庭の各部屋ごとにリフォームするべき箇所や、押さえるべきポイントをお伝えします。
個室
寝室やリビングといった主要な部屋は、使用頻度も高くなります。
高齢になると足腰の筋力が落ちてきて弱くなり、握力も低下してきます。場合によっては、家の中でも車椅子を利用する可能性も高くなるでしょう。
個室でリフォームすべき箇所は次の通りです。
個室におけるリフォームのポイント
- 段差を解消する
- 主要な動線の周囲に手すりを設置する
- 廊下や建具の間口幅を広くする
- 開き戸タイプのドアから引き戸へ変更する
手すりをつける場合、床から手すりまでの高さは750〜850mmが目安です。
車椅子でもスムーズに出入りができるよう、廊下や開口幅は800mm以上が理想です。敷居の小さな段差も、車椅子移動の障害になるため、バリアフリー仕様に変更します。
また、開き戸タイプは車椅子にとって使いにくくなるため、横にスライドして開閉ができる引き戸タイプに変更すると一人で移動する場合も安心です。
素材はコルクタイルがおすすめ。柔らかく弾力があるため握力の弱い高齢者でも掴みやすく、保温性にも優れています。
トイレ
トイレでの介護が必要になるケースでは、次のポイントを押さえておきましょう。
トイレにおけるリフォームのポイント
- トイレ内に十分な広さを設ける
- 手すりをつける
- 出入り口を広くする
排泄の際に介助が必要になるケースでは、本人だけでなく介助者もトイレの中に入る必要が出てきます。そういった場合もスムーズに動けるよう、便器の前や横には500mm以上の空間があると望ましいでしょう。同じく、トイレの出入りのためにも、出入り口は800mm以上の幅を確保するのが理想的です。
また、床材を変更する場合は、掃除のしやすい素材を選ぶと介護する側の負担も軽減されます。
浴室
浴室で気をつけたいポイントは、次の通りです。
浴室におけるリフォームのポイント
- 暖房乾燥機を入れる
- 蛇口をシングルレバーやサーモスタット式にする
- 脱衣所や浴室内の床に滑り止め加工を施す
高齢者の入浴時、とくに気をつけたいのが「ヒートショック」です。
温度の急激な変化に晒されることで血圧が急激に上下し、それが原因で心筋梗塞や脳梗塞などの健康被害を引き起こす事例が絶えません。
マンションは断熱性が比較的高いため、そこまでの温度変化を感じないことも多いですが、木造戸建ての冬場は特に寒くなるため、リフォームを検討する人が多いです。
ヒートショックの影響による死亡者数は年間に1万9,000件にものぼるといわれており、冬場はとくに事故が起きやすい時期。自宅の脱衣場や浴室の温度を暖かく保てるよう、暖房乾燥機などを導入して室温を下げない工夫が必要となります。
また、温度調節が簡単にでき、温度変化も緩やかなサーモスタット式に変えることで、火傷による事故を防ぐことにつながります。蛇口は握力が低下しても握りやすい、シングルレバーがおすすめです。
階段
階段は転落事故など、高齢者が巻き込まれる事故が起きやすい箇所です。
以下のポイントをおさえておきましょう。
階段におけるリフォームのポイント
- 滑りにくい床材を選ぶ
- 段鼻(階段床の先の部分)にノンスリップを設ける
- 手すりをつける
また可能であれば、昇降しやすい角度に変更したり、階段昇降機の設置を検討しましょう。
階段が急勾配で、高い段差を一歩で上らなくてはいけない状態は、高齢者に負荷がかかります。可能であれば一直線の階段はL字型へと変更し、一つひとつの段差を小さくするようにします。
また、見落としやすいのが段鼻(踏み板の先端部分)の部分。万が一足を滑らせた場合でも、ここに滑り止めを施しておくことで踏ん張りが効き、転倒を防いでくれます。
玄関
玄関では、車椅子を利用することを想定してリフォームをすると良いでしょう。
玄関におけるリフォームのポイント
- 段差を解消し、式台を設置する
- 階段からスロープに変更する
- 玄関までのスロープや、玄関前の広さを十分に確保する
- 転倒防止用の滑りにくい素材を選ぶ
式台とは、玄関先の一段低くなった板敷きのこと。高齢になると、土間から玄関への段差を上がることが困難になってくることもあります。段差を一切なくすことができればベストですが、難しい場合は式台を設置すると、腰掛けて靴を着脱したり、自力で玄関へ上がったりすることもしやすくなります。
雨や雪が降ることも想定し、玄関まわりは滑りにくい床材に変更しておくとベターです。
高齢者リフォームで利用できる補助制度
高齢者のためのリフォームは条件を満たすことで、市区町村による助成金や介護保険制度の補助金を受け取ることができます。
制度を知っていれば、無料とまではいかないものの、リフォーム費用を必要最低限まで押さえることが可能です。
リフォーム会社へ正式な施工依頼をする前に、補助制度の詳しい条件を確認しておきましょう。
高齢者住宅改修費助成制度
対象となるのは、介護認定で「要支援」または「要介護1~5」と認定された方。また、それに該当する本人が、リフォームする住宅に住んでいることが大前提となります。
支給される金額は、リフォームにかかる工事費の9割(1割は自己負担)。
ですが、その上限金額は20万円までに設定されているため、実際に支給される最大金額は18万円までということになります。
さらに、工事内容にも細かい規定が存在します。
例えば、床の段差解消、滑り防止を目的とした床材への変更、和式から洋式トイレへの変更、手すりの取り付けなどは規定の範囲内となるため補助を受けることが可能です。
詳しい規定内容については、お住まいの各市町村の介護保険課にお問い合わせください。
リノベーションでさらに快適な住まいに
高齢者の介護では、浴室やトイレなど、水回りに関する箇所をどのように変えるかが、快適に暮らすためのポイントになります。バリアフリー化や、広いスペースを確保するといったリフォームのほかに、浴室・トイレの場所を個室から近いところにするのも便利で快適な介護のためには重要です。
その場合は、古くなった箇所を修理する・既存のスペースを新しく改装するといった工事がメインになるリフォームとは異なり、部屋と部屋の間にある間仕切りをなくす・機能性の高い設備へ大幅変更するといった、既存の建物に新たな価値や機能を付け加えるための「リノベーション」が必要になります。
リノベーションは、建物の間取りを変更することもでき、廊下の位置を変えて広くしたり、個室とトイレを近くしたりと、生活動線自体を変更することも可能です。
今回ご紹介した補助金制度を上手く活用すれば、費用を抑えながらリノベーションを叶えることもできます。
高齢者向けのリフォーム・リノベーションを行うことは、介護をする側にも快適な生活と大きな安心・安全をもたらしてくれます。いまは介護する側であっても、いずれは自分が人の手を必要とする立場になる可能性も十分あります。
リフォームより大掛かりになるリノベーションは不安や疑問に感じることも多いでしょう。そんなときは、信頼できるリフォーム会社に相談するのが近道です。
住宅リノベーションのひかリノベは、数多くの実績を積んできたリノベーション会社だからこそ、補助制度を受けるための細かな条件確認、より良い間取りにするための知識も豊富です。
高齢者向けリフォームの経験豊富な専任のスタッフが対応させていただきます。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
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