マンションの構造~RC造・SRC造・S造の違いとは?リノベーション向きなのはどれ?

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マンションの構造には、RC造、SRC造、S造の3種類があります。それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがあり、構造によってはリノベーションやリフォームに影響を及ぼす可能性も。

リノベーションで間取り変更を検討している場合は、リノベーション向きの構造、逆に不向きな構造などがあるのか気になりますね。また、耐震性・防音性・耐火性に優れた工法はどれか、建物の寿命に違いはあるのかといった情報も気になるところです。

この記事では、マンション構造の基礎知識、それぞれのメリット・デメリットや、リノベーションへの影響についてわかりやすく解説していきます。

マンションの構造と特徴

マンションの構造は、建物をつくる材料によって主に3つの種類に分けられます。

  • RC造(鉄筋コンクリート造)
  • SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
  • S造(鉄骨造)

S造は、鉄骨の厚みの違いによって、さらに「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」に分かれます。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、ひと口にどの構造が最良の選択だとは言い切れません。「どんなポイントを重視するか」をポイントに、自分に合った構造を選ぶと良いでしょう。

では、3つの構造の違いについて詳しくご紹介していきましょう。

RC造(鉄筋コンクリート造)

RC造とは、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めた構造のこと。

コンクリートは圧縮力には強いのですが、引っ張る力には弱いという特徴があります。RC造では、伸びが良く引っ張る力に強い鉄筋を芯にすることで、躯体の強度を高めています。

RC造は建物の形状やデザインの自由度が高いことから、多くのマンションで採用されています。従来は10階建てくらいまでの中低層のマンションによくみられた構造でしたが、近年は20階建を超える高層建築でもRC造が採用される例が増えてきました。

コンクリートがもつ大きな特徴は、遮音性・耐火性にすぐれていること。前述のとおり、圧縮と引っ張る力の両方に強いため、耐震性も高いです。
(とはいえ、わが国の建物は建築基準法により一定の耐震性が担保されているため、実際に物件を選ぶときには「地震に強いRC造を」と特別意識する必要はないでしょう)

また柱・梁、壁、天井や床を一体的につくるので気密性が高い点も、RC造のメリットです。隙間風が入り込みにくく、外気の影響を受けずに適温を保ちやすい特長があります。

デメリットは、まず建築費用の高さ。他の構造に比べ建物自体が重く、地盤改良のコストが余計にかかることも。建築コストの高さは物件価格にそのまま反映されます。

また気密性が高い反面、換気を怠ると結露やカビが発生しやすくなる点も注意が必要です。ただし、比較的新しい物件についてはさほど換気に神経質になることはありません。2003年の建築基準法改正により、24時間換気システムが義務化されたためです。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

SRC造とは、RC造の柱や梁の部分に鉄骨を入れた構造のこと。圧縮力と引っ張る力に加え、せん断力(モノを斜めにずらす力)にも強いのが特徴です。

遮音性や耐火性、耐震性にすぐれている点はRC造と変わりありません。

SRC造ならではのメリットは、鉄骨を入れている分コンクリートが少なくて良いため、軽量化できるという点。そのため、高層マンションで採用されるケースが多くなっています。

デメリットもRC造と同様。建築費用が嵩みやすく、物件価格は高くなりやすい構造です。

またSRC造の高層マンションは、軽量化のために上部を鉄骨造でつくるケースがありますが、この場合鉄骨造の部分についてはSRC造のメリットは得にくくなります。具体的には、高層階は地震・風によって揺れやすい、遮音性が低くなる等。

S造(鉄骨造)

S造とは、柱や梁に鉄骨を使用した構造のこと。鉄筋やコンクリートは使用しません。

S造の中でも、鉄骨の鋼材の厚みが6㎜未満の場合は軽量鉄骨造といい、二階建住宅や店舗・アパートによく採用されています。
6mm以上の場合を重量鉄骨造といい、ビルやマンションなどの大きな建築に採用されることが多いです。
また外壁などにALC(軽量気泡コンクリート)を使ったものは、特に「鉄骨ALC造」と呼ばれることもあります。

メリットは、施工性の高さ。柱や梁となる鉄骨は事前に工場で製造され、建築現場では組み立てるだけです。そのため工期も短く、建築費も比較的安く済むので、物件価格もリーズナブルな場合が多いです。

重量鉄骨造であれば、柱や梁の数が他の構造と比べて少ないため、間取りの自由度の高さもメリットです。柱と梁で建物を構成するので、大きな窓も設けることができます。

デメリットとしては、コンクリートが使われていない分、RC造・SRC造に比べて遮音性が劣る傾向があります。ただし壁の素材や厚みによっては、RC造・SRC造に遜色ない場合もあり、一概に「S造は遮音性が低い」とは言えません。

また、施工の精度が低いと天井や床の取り合いに隙間が生じ、遮音性や気密性が損なわれるケースがあります。

耐火性については、鉄骨がコンクリートで守られていない分、熱で変形する場合が。

耐震性については建築基準法によって一定の性能が担保されていますが、鉄骨はよくしなる特徴があるため、高層階ほど揺れを感じやすくなります。

組み立て方の種類

マンションで最も多く採用されているのは、RC造です。

その中でも、材料の組み立て方によって、主に2つの構造形式に分けられています。

  • ラーメン構造(柱と梁で建物を支える)
  • 壁式構造(壁で建物を支える)

ラーメン構造

ラーメン構造とは、柱と梁で構成された構造形式をいいます。壁式構造に比べて軽量であることから、高層マンションで多く採用されている構造です。

建物を支えているのは柱と梁。壁がなくても成り立つことから、壁をなくしてワンルームにしたり、間取り変更をしたり、スケルトンリノベーションを希望する人におすすめの構造といえるでしょう。

一方でデメリットになりやすいのが、室内に柱型・梁型が出てくることで「家具が置きづらい」という点。

ですが最近は、柱型や梁型を住戸の外に置くよう設計された「アウトフレーム」の建物も増えてきました。ただし、アウトフレームは室内に凹凸が無い反面、バルコニー側に梁が出ていて採光が遮られる場合があるので、その点は注意が必要です。

壁式構造

壁式構造とは、壁で建物を支える構造形式をいいます。ラーメン構造に比べると重量があるので、採用しているマンションの多くが低層マンションです。

柱や梁など面積の少ないもので支えるのではなく、面で支えるため堅牢であり、耐震性にすぐれているのがメリットといえます。

ラーメン構造に比べると、柱型・梁型が出ないため家具が配置しやすく、空間を有効活用しやすい点もメリットです。

一方でデメリットになるのが、リノベーションで間取りを変更したい場合に制約がかかる可能性がある点です。耐力壁(構造耐力上壊せない壁)の位置によっては、イメージしていた希望の間取りに変更できないケースも発生します。

それぞれの構造に向いた人・不向きな人

建物の構造は物件情報にも明記されていますが、それぞれにどんな特徴があるか「よく知らない」という方も多いのではと思います。

RC造・SRC造・S造、どの構造も良いところもあればデメリットもあります。この構造だからいい・悪い、ではなく、何を重視するかによっておすすめできる構造は変わります。

地震や火災のリスクに備えるなら?

地震や火災のリスクをできるだけ軽減したいのなら、耐震・耐火性の高いRC造かSRC造がおすすめです。
安全を突き詰めて考えると、SRC造の低層階がベストと言えます。

生活音・騒音が気になりにくいのは?

近隣の生活音・騒音が気になる方や、子供のやんちゃな足音が響かないか心配な子育て世帯なら、遮音性・防音性に優れるRC造やSRC造が向いています。

とはいえ、必ずしもRC造だから安心・静かとは限りません。同じ構造でも施工の精度や、細かい設計の違い、内装に使われている材料によっても違いが出ます。RC造でも躯体の厚さが充分でないために足音や生活音が筒抜けという物件もありますし、S造でも遮音性の高いALCパネルを戸境壁に採用し高い遮音性を実現している物件もあります。音の聞こえ方に関しては個人の感覚差も大きいので、内覧で実際に自分の感覚で確かてみることをおすすめします。

価格が安いのは?

S造には、価格の面でメリットがあります。
きちんとつくられていて維持管理もなされていれば、耐震性や耐久性について「S造だから」と心配することはありません。

リノベーション向きの構造は?

ただし、RC造の中でも壁式構造は間取り変更に制約が生じる可能性が。スケルトンリノベーションで大規模な間取り変更を行ったり、二つの部屋を繋げて大きなリビングダイニングスペースにしたりといった工事を希望する場合は、耐力壁が間取り変更の障壁になる可能性があります。

最初から間取り変更を前提としたリノベーション利用を考えている場合、S造、もしくはRC造でもラーメン構造の物件を選ぶと、間取りの自由度は高くなります。

終わりに

このように、どの構造もそれぞれのメリット・デメリットがあります。特長を理解したうえで、あなたにとって最適な物件を判断してください。

当社ひかリノベは、中古マンション・中古一戸建ての不動産売買仲介サービスと、オーダーメイドのリノベーションをご提供している、リノベーション会社です。
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記事監修

大宮 良明(一級建築士、既存住宅状況調査技術者)

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」

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