中古マンションの瑕疵担保責任が契約不適合責任へ。何が変わった?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
mansion

住宅の売主や施工会社には、引き渡し後発覚した不具合や欠陥を、補修などの手段で保証する義務があります。これを「瑕疵担保責任」といいます。
2020年4月、民法が120年ぶりに改正され、瑕疵担保責任が「契約不適合責任」に変わりました。

売った(引き渡した)住宅に不具合があったら、売主や施工会社が保証するという部分は代わりませんが、買主側の権利が拡充されるなど、買う側も押さえておきたい変更点があります。
この記事では、これまでの瑕疵担保責任と、改正民放における契約不適合責任について説明します。

2018年7月2日初出→2021年9月15日更新

「瑕疵担保責任」とは?

「瑕疵担保責任」とは、購入、建築した住宅の引き渡し後に雨漏りやシロアリの被害、設備機器の不具合、配管の水漏れのような“隠れた(気づかなかった)瑕疵”が発覚した場合、売主や施工会社がその責任を取らなくてはいけない、という法律上の決まりです。

新築住宅では、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)によって10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。万が一販売・施工した会社が倒産しても、きちんと補修できるよう、必ず瑕疵保険にも加入しなくてはいけません。

中古住宅は、品確法の適用対象外ですが、民法における瑕疵担保責任に基づいて、売主が責任を負わなくてはなりませんでした。瑕疵が発覚したら、売主は以下のような形で責任を取る必要があります。

  • 損害賠償を支払う
  • 契約を解除する
  • 不具合を修理する(リフォームなど請負契約のみ)

また、品確法はハード面の不具合を保証するものですが、民法上は、その住宅で事件や事故があった(心理的瑕疵)、近くに反社会的勢力の住居や事務所がある(環境的瑕疵)、といったことも瑕疵に含まれます。

改正前の民法では「買主が瑕疵を発見してから1年以内に申し出れば、売主はこれらの責任を負わなくてはならない」のが原則で「引き渡しから10年」を過ぎると時効でした。

ただ、10年間も売主が責任を負わなくてはならないのは、負担が大きすぎます。

そこで、個人が所有する住宅を売却する場合は、契約時の特約として、売主が責任を負う期間を「引き渡し後3ヶ月間」とする、あるいは築古物件(築20~30年以上)であれば「瑕疵担保責任を負わない」と取り決めることもできます。

一方、不動産会社(宅建業者)が売主となる場合は、宅建業法によって「引き渡しから2年以上」は責任を負わなければならないとされています。

民法改正で瑕疵が「契約不適合責任」に

2020年4月、制定時のままだった内容を現代にあったものにする目的で、民法が改正されました。
改正民放では、不動産取引で重要な項目だった瑕疵担保責任が「契約不適合責任」に変わりました。

どこがどう変わったのか、中古マンションの売買において、特に重要な部分に絞ってみていきましょう。

改正前の民法における瑕疵は、正確には「隠れた瑕疵」と言い、買主が注意していても見逃してしまうような不具合を指す概念でした。
例えば、内覧時に良く見れば気づく内装の汚れやキズ、設備機器の経年劣化による故障などは、瑕疵とはされず、中古マンションの取引は「原状有姿渡し」が原則となっていました。

しかし、改正後は「隠れた」の要件が不要に。買主が知りえた瑕疵であったとしても、契約書に記載されていなければ、売主に対応を求めることが可能になります。

さらに、改正前は契約を締結する前までに生じた瑕疵が対象でしたが、改正後は契約を「履行」するまでに発生した瑕疵が対象となります。

買主側が有利になる変更ばかりではありません。
過失があろうがなかろうが売主が責任を負う瑕疵担保責任に対し、契約不適合責任は、売主に責任がない瑕疵について、買主が損害賠償を要求することはできません。

改正前と変わらないこと

瑕疵担保責任は、売主と買主、双方の合意によって変更ができる任意規定でした。
契約不適合責任になっても、任意であることは変わりません。

では、先ほども述べたように「引き渡し後3カ月間」や、築古なら免責といった特約をつけることが可能です。

買主は何ができる?

瑕疵が見つかったとき、買主は売主に対応を求めることができるのは、瑕疵担保責任も契約不適合責任も同じです。

ただ、改正民放では、売主に要求できる内容の範囲が広がりました。
損害賠償と契約解除に加え、新たに「追完請求」と「代金減額請求」を売主に要求できるようになっています。

追完請求は、契約通りのものになるよう、補修などを要求できる権利。代金減額請求は、その名の通り値引きを求める権利です。
また、損害賠償は、契約通りのものが引き渡されていれば得ることができたはずの利益(履行利益)の賠償も請求ができるようになりました。

さらに、改正民放では買主が権利を行使するためには、瑕疵に気づいてから「1年以内に通知」すれば、権利はその後いつ行使しても良いとされました(改正前は「1年以内に権利を行使」することが必要)。

もしもの備えに……『既存住宅売買かし保険』

瑕疵担保責任保険が契約不適合責任になっても、引き渡し後に不具合が見つかったら、売主の責任が問われるのは変わりません。

しかし、宅建業者やハウスメーカーならともかく、個人が自宅を売却する場合は、不動産取引に慣れている方が売主になるとは限りません(むしろ「最初で最後」という方が多いのではないでしょうか?)。

無事引き渡しが済んでホッとしていたところに損害賠償や契約解除を求められたら、たいていの方が「すぐには対応できない、困った!」とお感じになることでしょう。
買主にとっても、売主が経済的に余裕がないために保証が受けられないのでは困りますよね。

そこで登場したのが『既存住宅売買かし保険』。

中古住宅を売買したあとで瑕疵が見つかった場合、保険金が下りて、補修費用を賄うことができる保険です。

保証の対象は建物構造の耐力性能・雨漏り・給排水配管の漏水の三点。保険は最長5年で、保険金の支払い限度額は最大1,000万円です。

既存住宅かし保険に加入するには、国交省指定の保険法人による住宅検査(インスペクション)に合格しなくてはいけません。

申し込み~検査~保険証発行の一連の手続きは、売買契約をむすんでから引き渡しまでの間に終わらせる必要があります。

申し込みは売主、買主、どちらでも構いませんが、制度の設計上、被保険者となるのは仲介業者(またはインスペクションをおこなう検査機関)です。
まずは仲介業者に「既存住宅売買かし保険に加入したい」と申し出てください。

あとは仲介業者が手続きを進めることになりますから、あなたは必要な書類をそろえたり、現地調査に立ち会ったりと、都度言われたことに協力すればOKです。

検査の合格基準は、きわめて技術的な話になるのでここでの言及は避けますが、重要なのは「新耐震基準を満たしているか」。中古物件を購入する際は、「昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた」もしくは「耐震診断や耐震改修をおこない、新耐震基準への適合が確認された」物件を選ばれるのがおすすめ。

大切な住まいを売り買いするということは、契約したら・引き渡したら「ハイ、終わり!」というわけにはいきません。

売主は何千万円という代金を受け取る以上、引き渡す物件の品質には最低限の責任が求められます。
他方、買主は中古マンションを購入する以上、ある程度のキズ・汚れ・古さは「当たり前」と考えて、内覧等で確認できることはしっかりと確認し、納得した上で契約する。お互いに責任を負うべき範囲をよく理解して契約にのぞむことが、のちのトラブルを防ぎます。

 


【記事監修】櫨元宏(宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー)

00-100

宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザーの有資格者。中古リノベから注文住宅まで、13年間におよぶ建築業界での営業経験をもつ。プライベートでは料理をこよなく愛する一面も(クックパッドにてレシピ公開中!)「食と住は生活の“根っこ”だと思います。キッチンへのこだわりを口にされるお客様は非常に多いです。一方で水廻りのリフォームは、物件によって制約も生じやすい部分。知識と経験をもとに『リノベ向き物件』をご紹介します」


好きな街。好きな暮らし。
ひかリノベの『中古を買ってフルリノベ』

ひかリノベの中古を買ってリノベーション

中古マンション・中古戸建物件の購入からリノベーションの設計・施工までワンストップ! 宅建士や建築士といった住まいづくりの全てのプロセスの専門家が専属チームを結成し、家づくりの一部始終をフルサポートいたします。

詳細はこちら >

パンフレットDLバナー_PC用 パンフレットDLバナー_SP用

おすすめの関連記事

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
資料請求 オンライン相談