中古住宅(戸建て)の諸費用は何に・いつ・いくらかかる?

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長らく賃貸住宅に住んでいた人も、結婚や出産等のライフスタイルの変化に伴い、戸建て住宅の購入を考えることもあるのではないでしょうか? 新築住宅では高価で手の届かない人も、中古住宅ならば購入できるのではないかと……。
とはいっても住宅の購入は、人生最大の買い物!物件価格だけで中古住宅の諸費用に的を絞って、何に・いつ・いくら位かかるのか解説しましょう。

いくら用意しておけばいい? 諸費用の金額の目安

中古住宅を購入する場合に掛かる諸費用は、ザックリ見積もって物件価格のおおよそ8%~10%程度といわれます。したがって3,000万円の中古住宅を購入する場合には、物件購入費のほかに240万円~300万円程度の諸費用を用意しなければなりません。

新築住宅の場合には、売主が直接販売することが多いので、仲介手数料はかからず諸費用は4~7%程度といわれます。しかし中古住宅の場合には、通常不動産会社を通すので仲介手数料がかかり、その分費用が必要になります。

また、マンションと違って、戸建ての場合は、管理費や修繕積立金が掛かりません。その分、同じ中古物件でも、戸建てのほうが諸費用はやや割安となります。

諸費用の内訳

住宅を購入する際には、金融機関や不動産会社・司法書士などに支払う手数料や税金・その他の費用が必要になります。それではそれぞれの諸費用の内容について説明しましょう。

中古住宅を購入するときに必要な手数料

新築住宅の場合には売主から直接購入するので、通常仲介手数料は不要ですが、中古住宅の場合には不動産会社を通して購入するので、仲介手数料が必要になります。
その他、住宅ローンを借りるための事務手数料や、登記の手数料などがかかります。

名目 概要
仲介手数料 不動産会社に支払う、物件の紹介や、契約などの購入手続きのサポートに対する手数料。金額は、物件価格の3%+6万円(消費税別)が上限と法律で定められている。
事務手数料 金融機関に支払う、住宅ローンを組むために必要な諸手続きの手数料。金額は金融機関によって異なり、借入金額に応じて金額が変化するという銀行もあれば、定額制で一律5万円といった銀行もある。
保証料 住宅ローンは、返済が不能になった場合に、保証会社が代わりに弁済するしくみになっている。そのため、ローンを組む際に保証料が発生する。金額は金融機関によって異なり、金利に含まれているので別途支払いの必要はないという銀行もあれば、金利とは別払いという銀行もある。
団体信用生命保険 多くの金融機関では、住宅ローンを組む際、契約者に万が一のことがあった場合に残債をゼロ円とする生命保険(団体信用生命保険)への加入を義務付けている。そのため、ローンを組む際に保険料が発生する。金額は金融機関によって異なり、金利に含まれているので別途支払いの必要はないという銀行もあれば、金利とは別払いという銀行もある。なお、オプションで料金を上乗せすれば、保障範囲をガンや八大疾病にかかった場合まで広げられる銀行も増えている。
火災保険料 多くの金融機関では、住宅ローンを組む際に火災保険への加入を義務付けている。そのため、ローンを組む際に保険料が発生する。金額は金融機関によって異なる。また、多くの金融機関では、オプションで料金を上乗せすれば、保障範囲を火災だけでなく、地震や浸水まで広げることができる。
登記手数料 司法書士に支払う、所有権移転登記と抵当権設定のための登記手続き代行手数料。金額は司法書士によって異なるが、地域でおおよその相場は決まっている。

中古住宅を購入するときに必要な税金

さらに、不動産取引にかかわらず契約ごとに義務付けられている印紙税、物件の所有権移転や住宅ローンの抵当権設定の登記にかかる登録免許税、固定資産税などの税金が課せられます。

名目 概要
印紙税 契約手続きに際して納める税金。印紙を貼って納める。契約書ごとに発生し、取引金額により印紙税額は異なります。
登録免許税 登記に際して納めなければならない税金。所有権移転登記、抵当権設定登記に課税されます。税額は、所有権移転登記は土地や建物の評価額に、抵当権設定登記は融資金額に応じて決まります。
固定資産税 不動産の所有者に課せられる税金。購入後は毎年納めなければなりません。税額は土地や建物の評価額に応じて決まります。
都市計画税 市街化区域にある不動産の所有者に課される税金、購入後は毎年納めなければなりません。土地や建物の評価額に対して税金を納めますが、土地部分は軽減措置があります。
不動産取得税 不動産を取得した人に課せられる税金です。購入後一度のみ納めます。

3,500万円の中古戸建を買った場合、諸費用はいくら?

下記の条件での中古住宅を購入した場合どのくらいの費用が必要かシミュレーションしてみましょう。

  • 物件購入価格:3,500万円(平成20年5月築)
  • 全額をローンで借入。借入期間30年(元利均等返済)金利3%(全期間固定金利)
  • 固定資産税評価額:建物500万円・土地1,500万円(土地の持分100㎡)

手数料・サービス料

まず仲介手数料は、物件価格の3%+6万円に消費税なので、3,500万円×3%+6万円に消費税で、122万円。

事務手数料は、金融機関によって異なりますが、ここではネットバンクに多い定率型(借入額の2.2%)と仮定します。式に当てはめると、3,500万円×2.2%で77万円。

保証料は、金融機関により一括支払い型や利息組込型など、支払い方法が異なります。ここでは利息組込型を選択したと仮定し、0円とします。

団体信用生命保険料も、多くの金融機関が利息の中に組み込んでいるため、別途支払いは不要です。

火災保険料は、一般的な補償内容(火災・落雷・風災・地震)でおよそ20万円前後という場合が多いです。

登記費用は、司法書士により金額が異なりますが、都内の戸建住宅の場合、相場は40万円程度(司法書士への報酬、登録免許税を含む)です。

税金

印紙税は、印紙税法に基づき、契約の内容と金額に応じて税額が決定します。
売買契約と工事請負契約は、下記の表右側の軽減税率が適用され、ローンの契約には左側の本則税率が適用されます。
ここでは契約金額が3,500万円なので、売買契約の印紙税は1万円、ローン契約の印紙税は2万円となります。

契約金額 本則税率 軽減税率
100万円~500万円 2,000円 1,000円
500万~1,000万円 10,000円 5,000円
1,000万~5,000万円 20,000円 10,000円
5,000万~1億円 60,000円 30,000円
1億~5億円 100,000円 60,000円

参照:国税庁 「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について

登録免許税は、土地や建物の評価額に応じて税額が決まります。
所有権移転の登録免許税の税率は、土地が評価額の1.5%、建物が評価額の0.3%になります。
したがってこの場合、土地は1,500万円の1.5%で22万5,000円、建物は500万円の0.3%で1万5,000円です。

抵当権設定登記の登録免許税の税率は、融資金額の0.1%です。したがってこの場合、3,500万円の0.1%で3万5,000円です。

登記の種類 税率
所有権の移転登記(土地) 1.5%
所有権の移転登記(建物) 0.3%
抵当権の設定登記 0.1%

参照:国税庁 登録免許税の税額表(2018/4/1~2019/3/31)

固定資産税は、土地や建物の評価額に応じて税額が決まります。
土地の税率は1.4%。ただし土地の持分に応じて、税額を控除する軽減措置が適用されます。軽減措置は200㎡までの部分に1/6の割合で軽減されます。この場合、土地の持分は100㎡なので、1,500万円の1.4%に1/6を掛けて、3万5,000円。

建物の税率は1.4%で、こちらは新築住宅に限り税額が一定期間2分の1となる軽減措置が用意されています。つまり、中古住宅にはこの軽減措置は適用されません。したがってこの場合、500万円の1.4%で7万円。

課税対象 標準税率 軽減措置
土地 1.4% (200㎡までの部分)1/6
(200㎡を超える部分)1/3
建物 1.4% 中古には適用なし

参照: 東京都主税局 固定資産税・都市計画税の概要

都市計画税は、土地や建物の評価額に応じて税額が決まります。
土地の税率は0.3%。ただし土地の持分に応じて軽減措置が適用されます。軽減措置は土地200㎡までの部分には1/3が軽減されます。

この場合土地の持分は100㎡のため、1,500万円の0.3%に1/3を掛けて1万5,000円。
建物は軽減措置が適用されず、税率は0.3%になるため、500万円の0.3%で1万5,000円。

課税対象 標準税率 軽減措置
土地 0.3% (200㎡までの部分)1/3
(200㎡を超える部分)2/3
建物 0.3% – 

参照:東京都主税局 固定資産税・都市計画税の概要

不動産取得税は、土地や建物の評価額に応じて税額が決まります。
土地・建物ともに税率は3%ですが、一定の要件を満たす中古住宅については特例が適用されます。

この特例では、土地は評価額を半額として計算し、さらに一定の金額を控除します(控除額は下記表を参照)。建物については、築年数に応じて最大1,200万円が控除されます。

一定の要件とは、専有部分の床面積が50〜240㎡であること、新耐震基準に適合していることの二つです。どちらも満たすと仮定すると、この場合、土地・建物ともに0円となります。

課税対象 本則税率 控除額
土地 3%

評価額を半額にする

①450,000円
②1㎡の評価額 の1/2 × 占有面積の2倍(最大200㎡) × 3%

⇒①②いずれか多い方を控除する

建物 3% (平成9年4月1日以後築)1,200万円
(平成元年4月1日~平成9年3月31日築)1,000万円 
(昭和60年7月1日~平成元年3月31日築) 450万円 
(昭和56年7月1日~昭和60年6月30日築) 420万円 
(昭和51年1月1日~昭和56年6月30日築) 350万円 
(昭和48年1月1日~昭和50年12月31日築)230万円 
(昭和39年1月1日~昭和47年12月31日築)150万円
(昭和29年7月1日~昭和38年12月31日築)100万円

参照:東京都主税局 不動産取得税の概要

これらをすべて合計すると、
仲介手数料………………122万円
事務手数料………………77万円
保証料……………………0円
団体信用生命保険料……0円
火災保険料………………20万円
登記手数料………………15万円

印紙税……………………3万円
登録免許税………………27万5,000円
固定資産税………………10万5,000円
都市計画税………………3万円
不動産取得税……………0円

(合計)およそ278万円となります。
物件価格が3,500万円ですから、およそ8%です。

支払いのタイミングと金額。いつ、いくら払う?

金銭の授受が生じるのは、基本的に決済のタイミングですが、手付金や、印紙税のうち売買契約の分など、契約時に支払う費用も一部あります。
いつ・どの費用を支払うのかは、下記の表のとおりです。

支払いタイミング 必要とする費用
売買契約時 手付金(物件価格の5%~10%程度)
売買契約の印紙税(税額は物件価格に応じ数千円から数万円)
決済時 物件残代金
諸費用(物件価格の8~10%)
引き渡し後 動産取得税(多くの場合0円)
引越し費用・リフォーム・リノベーション費用
購入後毎年継続支払い 固定資産税・都市計画税・住宅ローンの返済

この表のうち「手付金」については、まだこの記事のなかで説明していませんでした。
手付金とは、物件代金の一部を売主に預け、もし契約をキャンセルする場合にはこれを放棄する、というもの。物件価格の全額をローンで借りる場合、融資実行のタイミングでこのお金は戻ってきますが、契約時には現金で用意しなくてはいけません。

また、不動産取得税は、じつは購入したその時ではなく、半年から1年ほど遅れて納税書が届きます。たいてい控除が適用されて0円となりますが、いくらか納めることになった場合は、忘れたころに納税通知書が届いて大慌て……とならないように注意しましょう。

また、固定資産税・都市計画税については、年度の途中で売買が成立した場合、日割りで折半とし、決済のタイミングで清算するという場合がほとんどです。

諸費用もローンで借りられる?

物件費用だけでなく、諸費用も含めて融資を受けられるのでしょうか。住宅ローンを借りる場合には、金利の上昇などさまざまなリスクがあり、手元に余裕資金を持つことは大事なことです。借り入れができればいざという時に対応できるでしょう。

物件の費用だけでなく諸費用まで借りることをオーバーローンといいますが、金融機関によっては、事務手数料・火災保険料・登記費用・印紙代・司法書士報酬などを借りられます。
さらに引越しの費用まで貸してくれるところもあり、リノベーション費用も組み込むことができます。
オーバーローンは初期費用が少ない人でも住宅を購入できるメリットがありますが、反面、毎月のローン返済額が多くなるので注意が必要です。

また、住宅の資産価値は毎年減少し、木造戸建て住宅では15年~20年で底値に至ります。
そのため築年数の古い物件は担保価値が低いとローン審査でみなされ、融資金額を低く抑えられる傾向があります。とくに現行の建築基準法の耐震基準を満たしていない、旧耐震基準の時代の物件は、諸費用まで上乗せして借りることは難しい場合が多いです。

おわりに

中古住宅の諸費用は、物件価格のだいたい10%程度と考えておけば良いですが、正確な金額は物件の条件などによって変わってきます。
簡単な試算は金融機関のホームページでもできますが、ひかリノベで物件を購入されるお客様には、もちろん担当コーディネーターが必要なタイミングと金額をご案内いたします。

住宅リノベーションのひかリノベでは、物件探しからリノベーション、資金計画までワンストップでお住まいづくりをサポートいたします。住宅ローン・資金計画の不安も遠慮なくご相談ください。

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記事監修

香月 祐(宅地建物取引士)

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