
せっかく念願のドラムセットを手に入れたのに、気軽に練習できる場所がないとお困りの方はいませんか?そんな方のために、こちらの記事では自宅に作れるドラム防音室の費用や注意点を詳しく解説。
またバンド練習のためにスタジオに行く手間が大変という方やドラムのセッティングにかかる時間がもったいないという場合も、自宅にドラム防音室があると便利です。
ドラムならではの防音対策をしっかり行い、思う存分ドラムを演奏しましょう。
目次
1.ドラムの防音対策
2.ドラムの防音室工事の注意点
3.防音工事の費用の目安
4.ドラムの防音室事例
5.まとめ
ドラムの防音対策
ドラムは他の楽器と異なる特徴があるため、ドラムに特化した防犯対策が必要です。
個体伝播音の対策が必要
打楽器であるドラムをたたくと、空気を振動させて伝わる音(空気伝播音)だけでなく、床や壁が振動することで聞こえる音(個体伝播音)も発生します。空気伝播音を防音するだけなら、間仕切り壁の吸音材などを使用することである程度の防音が可能です。
しかしドラムは個体伝播音も発生するため、壁の防音に加えて床や壁の振動を外に漏らさない工夫も必要になります。
具体的には、ドラム防音室の場合、今ある部屋の内側にもう二つ宙に浮いた状態の箱を設置するような工事です。このような構造の防音工事を「防振三重構造」といいます。
このような理由からドラム防音室を作る場合は、他の楽器と同じような防音室では不十分だということを覚えておきましょう。
ボリューム調整が難しい
ドラムは音のボリューム調整が難しく、誰が演奏しても同じくらいの音が出せてしまうため、専門の防音業者による設計や施工が必要です。
ドラムのような打楽器は、初心者でも力の入れ方で結構な音が出せます。こちらは演奏者ごとに測定したドラム音の大きさです。
- お子様…90~100デシベル
- 成人男性…100~110デシベル
- プロ…110~120デシベル
このように、ドラムは誰が演奏しても同じくらいの音の大きさになり、音のボリューム調整が難しいため、部屋の配置や住環境を配慮した設計や施工が必要です。
またドラムならではのデッド(残響時間が短い)な吸音率にするためには、使用目的によって吸音率を変えるなどの工夫も求められます。
ドラムの防音室工事の注意点
ドラムの防音室を作る際は、ピアノや弦楽器、管楽器とは違う点に注意しなければなりません。他の部屋や外部に音を漏らさず快適に過ごすためには、このようなポイントを踏まえて防音室を設計しましょう。
床の振動に注意
ドラムは床に直接設置して演奏するため、床に振動が直接伝わります。またキックペダルを踏んで、ビーターというハンマー状のものがバスドラムを叩くという操作も加わるため、さらに床に衝撃音が響きます。
床に伝わった振動は壁を伝って隣の家や部屋に伝わるため、壁と床の両方の防音対策が必須です。
床の振動を極力カットしたいという方は、防音室の床に防音マットやノイズイーターを使用してみては?ノイズイーターはドラムの下に敷く防音アイテムで、防音マットと併用することで寄り高い防音効果が得られます。
ドラムの音域に注意
ドラムには低い音を出すバスドラムから、高い音を出すシンバルまであります。したがって一つの楽器で出すことができる音域が広く、低音から高音までまんべんなく大きな音が発生します。
またドラムには、音が発生した後の音圧がピークになるまで非常に速いという特徴もあります。
もちろん防音室工事では、高い音も低い音も外に漏らさないことが重要で、他の楽器の防音工事とは異なる対策が必要となります。
ドラムの防音室設計に関しては、こちらの記事も参考にしてください。
防音工事の費用の目安
それでは実際にドラムの防音工事にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。こちらはRCマンションの一室に防音室を作ったときの費用の相場です。自宅にドラム防音室を作る際の参考にしましょう。
既存面積(畳) |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
既存面積(㎡) |
5.0 |
6.6 |
8.3 |
9.9 |
11.6 |
13.2 |
参考価格 |
250万円 |
300万円 |
325万円 |
350万円 |
380万円 |
400万円 |
※専有区画外/躯体スラブを合わせた複合遮音性能D-65~70(開口部を除く)
※建具・サッシのサイズおよび仕様により金額の変動があります。
※生ドラム使用は施工不可(電子ドラムは可)
RC造マンションのお部屋にドラム防音室を作る場合は、最小面積3畳(5.0㎡)で250万円~、最も大きい8畳(13.2㎡)だと400万円台で施工が可能です。木造建築では、元々の遮音性能が低いため、さらに施工費がかかります。
一般的な電子ドラムは、幅180㎝×奥行140㎝の面積があれば設置可能です。ただしドラムのモデルによっては、もう少し広さが必要な場合があるため、あらかじめドラムの設置スペースを確認することをおすすめします。
ドラムの防音室事例
これまで実際に自宅にドラム防音室をリフォームした事例を見ながら、ドラム防音室を作る際のポイントや注意点を見ていきましょう。
「洗練されたモダンなデザインのレコーディングスタジオ」
こちらは、戸建ての自宅の地下に本格的なドラムのレコーディングスタジオとコントロールルームを作ったリフォーム事例です。
クライアント様指定のデザイナーによるデザインで、モノトーンとフローリングのシャープでモダンな空間に仕上がっています。
主役の防音室はドラム音の輪郭をよりはっきり際立たせるため、デッドな音響を心がけています。また躯体構造上の制限により梁や柱が浮き出た内装は、音の反射経路の複雑化に役立っているというメリットも。
演奏の様子が分かるように防音室の一面を大判ガラス張りにしているのですが、もちろん遮音性の高いガラスを選択。ここでも遮音性をキープする工夫がなされています。
「閑静な住宅街にある個性豊かなスタジオ」
こちらも住宅街にある戸建ての地下に、ドラム防音室とコントロールルームを新たに作ったリフォーム事例です。
内装材にリンボーンのフローリングやレンガ、モノトーンの吸音パネルを使用するなど、見た目にも大変こだわった防音室に仕上がっています。
防音室の天井にはスピーカーを設置して、ドラムのレコーディングだけでなくリハーサルスタジオとして使える作りになっています。
スタジオの電源にはノイズ対策として専用回路を使用。防音室とコント―ロールルームとの音声・映像のやり取りは、LANで行えるようにするなど、防音性能だけでなく使い勝手もかなり良い仕上がりです。
まとめ
ドラムは空気を伝わる音だけでなく、床や壁を伝う音にも注意して防音室を設計しましょう。また床に置いて使用するドラムならではの床の振動や、広い音域をカバーできる防音工事が必須です。
ドラムはだれが演奏しても同じ程度の音量が出て、音のボリューム調整が難しいという特徴があります。したがって建物の構造やリフォームの知識だけでなく、楽器ごとの音の伝わり方や音の響かせ方についての専門的な知識が欠かせません。
こちらの記事をご覧になって自宅にドラム防音室をリフォームしたいとお考えなら、必ず防音工事の専門業者に相談するようにしましょう。
マンションのフルスケルトンリフォームを得意とするひかリノベでは、この度防音工事のスペシャリストである昭和音響さん(https://www.showaonkyo.com/)と業務提携いたしました。
防音室を自宅に新たに作るには、床の補強工事や壁に吸音材を施工する必要がります。躯体をあらわにするフルスケルトンリフォームなら、防音室工事の手間がかかりません。
在宅時間が延び、自宅でドラムなどの楽器を演奏したいという方が増えました。マンションを購入するタイミングや自宅をリフォームするタイミングで、ドラム防音室を作ってみては?
マンションのリフォーム・リノベーションは、ドラム防音室工事も可能なひかリノベにぜひお任せください!
【記事監修】昭和音響
一級建築士在籍の防音設計事務所。マンションや一戸建・築古・木造と幅広く防音工事を手掛ける。防音性能はもちろんのこと、ピアノやドラムなど楽器それぞれの最適な音量や表現方法にも着目し、気持ちよく演奏ができる防音室を提供している。2021年よりひかリノベと提携。これにより、ひかリノベでもお部屋の防音工事が可能となりました。