ドラム防音室のリフォーム費用と工事の注意点を解説【事例あり】

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せっかく念願のドラムセットを手に入れたのに、気軽に練習できる場所がないとお困りの方はいませんか?
またバンド練習のためにスタジオに行く手間が大変という方やドラムのセッティングにかかる時間がもったいないという場合も、自宅にドラム防音室があると便利です。

そんな方のために、こちらの記事では、自宅にドラム防音室を作る際の工事費用や注意点といった基礎知識を解説。
ドラムならではの防音対策をしっかり行い、思う存分ドラムを演奏しましょう。

ドラム用防音室工事のポイント

ドラムの防音室を作る際は、ピアノや弦楽器・管楽器とはまた異なる注意点があります。
室外や近隣に音を漏らさず、また演奏者自身が快適に過ごすためのポイントを解説します。

固体伝播音を防ぐ

ドラムのような打楽器は、空気を振動させて伝わる音(空気伝播音)だけでなく、床や壁が振動することで聞こえる音(固体伝播音)も発生します。

空気伝播音を遮るだけなら、間仕切り壁の吸音材などを使用することである程度の防音が可能です。
しかし打楽器の演奏室の場合、空気伝播音を遮るための壁の遮音施工に加え、床や壁の振動を外に漏らさないための工夫が必要になります。

とくにドラムは、床に直接置いて演奏する打楽器です。そのため振動が床に直接伝わります。
キックペダルを踏んで、ビーターというハンマー状のパーツがバスドラムを叩く、という操作も加わると、さらに床に衝撃音が響きます。

床に伝わった振動は、階下の部屋はもちろん、壁をつたって隣戸にも伝わります。
したがって床と壁、双方の振動対策が必要になるのです。

こうした理由から、ドラム防音室を計画する際は、ピアノや弦楽器・管楽器とは異なる工夫が必要になります。
具体的には、今ある部屋の内側にもう二つ宙に浮いた状態の箱を設置するような工事が有効です。
このような構造の防音工事を、「防振三重構造」といいます。

さらに、床に防音マットやノイズイーターを敷くことで、床の振動を極力カットします。
ノイズイーターはドラムの下に敷く防音アイテムで、防音マットと併用することで、より高い防音効果が得られます。

ドラムは音量の調整が難しい

ドラムのような打楽器は、初心者でも力の入れ方で結構な大きさの音が出せてしまいます。
こちらは演奏者ごとに測定したドラム音の大きさです。

  • お子様…90~100デシベル
  • 成人男性…100~110デシベル
  • プロ…110~120デシベル

またドラムには、音が発生してから音圧がピークになるまでが非常に速い、という特徴もあります。
翻って言えば、ドラムは音のボリューム調整が難しい、ということです。
演奏者が思う以上に大きな音が出てしまうことを想定し、部屋の配置や住環境に配慮した設計・施工を行う必要があります。

また、防音室内の音の響き方も考慮しなくてはいけません。
残響時間が長すぎると、音の輪郭がはっきりせず、練習には適しません。
ドラムならではのデッド(残響時間が短い)な音響にするためには、使用目的に応じた吸音率になるよう設計する必要があります。

幅広い音域への対応

ドラムには低い音を出すバスドラムから、高い音を出すシンバルまであります。一つの楽器で出すことができる音域が広く、低音から高音までまんべんなく、大きな音が発生します。

そのためドラム演奏用の防音室には、高い音も低い音も外に漏らさない設計施工が求められます。管楽器や弦楽器以上に対応すべき音域が広いということも、注意したいポイントです。

ドラム用防音室の工事費用の目安

実際にドラムの防音工事には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
下表はRCマンションの一室にドラム演奏が可能な防音室を作った場合の費用の目安です。

既存面積(畳) 既存面積(㎡) 価格(円)
3 5.0 280万
4 6.6 330万
5 8.3 360万
6 9.9 390万
7 11.6 420万
8 13.2 440万

※専有区画外/躯体スラブを合わせた複合遮音性能D-65~70(開口部を除く)
※建具・サッシのサイズおよび仕様により金額の変動があります。
※電子ドラムを想定(生ドラムは使用不可)

RC造マンションにドラム防音室を作る場合、最小面積3畳(5.0㎡)で250万円~、最も大きい8畳(13.2㎡)だと400万円台で施工が可能です。
木造建築では、元々の遮音性能が低いため、さらに施工費がかかります。

一般的な電子ドラムは、幅180㎝×奥行140㎝の面積があれば設置可能です。ただしドラムのモデルによっては、もう少し広さが必要な場合があるため、あらかじめドラムの設置スペースを確認することをおすすめします。

ドラム用防音室の施工事例

これまで実際に自宅にドラム防音室をリフォームした事例を見ながら、ドラム防音室を作る際のポイントや注意点を見ていきましょう。

電子ドラムと電子ピアノの演奏室(マンション)

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マンションの一室を、電子ドラムと電子ピアノの演奏を想定した防音室とした事例です。
マンションの場合、人が歩く足音も騒音トラブルになりかねません。浮遮音構造で、床や壁の振動を外に漏らさない設計に。
防音ドアは鋼製で、一枚扉でも充分な防音性を備えています。
この防音ドアには窓を設け、居室空間との繋がりを残しました。防音室は中で危険があった場合に声を上げても外に聞こえづらいため、安全性の観点から、どこかに窓を設けることをおすすめしています。

一面ガラス張りのレコーディングスタジオ(戸建て)

モダンなデザインのレコーディングスタジオ

こちらは、戸建ての自宅の地下に本格的なドラムのレコーディングスタジオとコントロールルームを作ったリフォーム事例です。
ドラム音の輪郭をよりはっきり際立たせるため、デッドな音響に。躯体構造上の制限により梁や柱が浮き出た内装は、音の反射経路の複雑化に役立っているというメリットも。
演奏の様子が分かるように防音室の一面を大判ガラス張りにしているのですが、もちろん遮音性の高いガラスを選択。ここでも遮音性をキープする工夫がなされています。

デザイン性の高いドラム防音室(戸建て)

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住宅街にある戸建ての地下に、ドラム防音室とコントロールルームを新たに作ったリフォーム事例です。
内装材にリンボーンのフローリングやレンガ、モノトーンの吸音パネルを使用するなど、見た目にもこだわった防音室に仕上がっています。
防音室の天井にはスピーカーを設置して、ドラムのレコーディングだけでなくリハーサルスタジオとして使える作りになっています。
また、スタジオの電源にはノイズ対策として専用回路を使用。防音室とコント―ロールルームとの音声・映像のやり取りはLANで行えるようにするなど、防音性能だけでなく、使い勝手にもこだわりました。

まとめ

ドラム演奏を想定した防音室の計画は、ピアノや管楽器とは異なる注意点があります。空気を伝わる音だけでなく、床や壁を介して伝わる振動にも配慮しなくてはいけませんし、大音量・広い音域をカバーする必要があります。通常のデザインリフォームに関する知識だけでは不十分で、楽器ごとの音の伝わり方・響き方についての専門的な知識が欠かせません。こちらの記事をご覧になり、自宅にドラム防音室をリフォームしたいとお考えになった方は、必ず防音工事の専門業者に相談てください。

リノベーションのひかリノベでは、この度防音工事のスペシャリストである昭和音響さん(https://www.showaonkyo.com/)と業務提携いたしました。
楽器演奏用の防音室を施工するには、床や壁の解体が必要です。躯体をあらわにするフルリノベーションのタイミングは、防音室工事を実施するのに最適です。
マイホームの購入や、自宅の大規模リフォームをお考えの方は、ぜひこの機会にドラム演奏用防音室をご検討ください。

家探しからのリノベーションをご希望の方は、物件探しから設計・施工までワンストップでご提供。
居住中のご自宅のリノベーションは、設計・施工はもちろん、工事中の仮住まい探しもおまかせください。

現在、ひかリノベのサービス概要をまとめたパンフレットと施工事例集のPDFデータを無料で配布中です。下記ダウンロードボタンより、どうぞお気軽にご覧ください。

記事監修

昭和音響

一級建築士在籍の防音設計事務所。マンションや一戸建・築古・木造と幅広く防音工事を手掛ける。防音性能はもちろんのこと、ピアノやドラムなど楽器それぞれの最適な音量や表現方法にも着目し、気持ちよく演奏ができる防音室を提供している。2021年よりひかリノベと提携。これにより、ひかリノベでもお部屋の防音工事が可能となりました。

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