
出産や子育ては、マイホーム購入の大きな動機のひとつ。
夫婦共働きが当たり前の今、子育ては家族以外のサポートがもはや必須に。行政にとっても、子育て世帯の支援は大きな課題で、力を入れる自治体も増えています。それだけに、子育て支援が手厚い地域で暮らしたい人も多いはず。
2023年現在「子育てしやすい街」はどこなのか、日経xwoman(旧・日経DUAL)「共働き子育てしやすい街ランキング2022」(2022/12/23発表)のランキングから考えてみましょう。
目次
子育てしやすい街ランキング、2022年の1位は『豊島区』
「共働き子育てしやすい街ランキング」は、日経xwomanと日本経済新聞が毎年行っているランキング。共働き世帯の出産・育児を支援する自治体の施策を独自の視点で調べ、評価したものです。
2022年は、首都圏、中京圏)、関西圏の主要市区と全国の政令指定都市、道府県庁所在地、人口 20 万人以上の都市の、計180自治体(うち回答は165自治体)を対象に実施しました。
今回の調査では、少子化対策(不妊治療助成、2人目以降の子育て支援など)への力の入れ具合を重視。45の評価項目で採点し、100点満点で採点した結果をもとにランキングが作られています。
2022年、総合編の1位に輝いたのは、2020、21年と2年連続で1位になった千葉県松戸市を抑え、東京都豊島区(83点)でした。
2位は、昨年1位だった千葉県松戸市(81点)、 3位には愛知県豊橋市(21年は14位)がランクインしました。
総合編ベスト10(同点のため11自治体)
順位 |
自治体名 |
点数 |
1位 |
豊島区(東京都) |
83点 |
2位 |
松戸市(千葉県) |
81点 |
3位 |
豊橋市(愛知県) |
80点 |
4位 |
羽村市(東京都) |
79点 |
5位 |
宇都宮市(栃木県) |
78点 |
6位 |
奈良市(奈良県) |
74点 |
8位 |
板橋区(東京都) |
73点 |
9位 |
葛飾区(東京都) |
72点 |
出典:日経xwoman「共働き子育てしやすい街2022 総合編ベスト50」(https://woman.nikkei.com/atcl/column/22/112200009/122300002/)
奈良市・四日市市(6位)、北九州市・堺市(9位)など、昨年2021年同様、地方都市も多くランクインしています。
12位~25位(同点のため18自治体)は次の通りです。
総合編 12~25位(同点のため18自治体)
順位 |
自治体名 |
点数 |
12位 |
厚木市(神奈川県) |
71点 |
16位 |
鈴鹿市(三重県) |
70点 |
21位 |
荒川区(東京都) |
69点 |
24位 |
市川市(千葉県) |
68点 |
25位 |
市原市(千葉県) |
66点 |
出典:日経xwoman「共働き子育てしやすい街2022 総合編ベスト50」(https://woman.nikkei.com/atcl/column/22/112200009/122300002/)
22年は同点同位の自治体が多い傾向が見られます。それだけ多くの自治体が、子育て支援に力を入れている・入れ始めたと言えるでしょう。
子育てしやすい街の指標とは?
子育てには、住まいの質はもちろん、周辺の環境も大きく関わってきます。
公園、通う保育園・幼稚園、小学校、病院、あるいは自然の豊かさや文化施設。
大人目線なら通勤や買い物の利便性も気になるところです。
子育て世帯にとって「どの街に住むか」は、最初に考えるべき要素だと言えるでしょう。
保育の現状と今後
共働き・子育て世帯にとって最も重要なインフラは、保育園だと言っても過言ではないでしょう。子どもが保育園に入れるかどうかが気せたになる方も多いはず。
少子化が進み、子どもの数は減っています。同調査では、回答した165の自治体のうち、2021年4月から22年4月までの間に、未就学児が増えたのはわずか9自治体でした。
しかし、保育園のニーズは高まる一方です。厚生労働省のとりまとめによると、22年4月1日時点における保育所の利用率は50.9%に。1・2歳児は56.0%に達しています。
各自治体も保育所の数・定員を増やし、前年比で施設数1.5%増、定員数0.9%増となっています。待機児童も、初めて全国で3000人を切りました。

出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和4年4月1日)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/11922000/000979606.pdf)
ただ、今後もこの傾向が続くとは限らず、自治体や施設によっては保育需要が減少することも考えられます。民間の保育園などは経営が不安定になり、結果として保育環境が悪化する可能性もあるでしょう。
同調査では、保育所の安定的な運営を支援するため、施設ごとの定員を変更したり、利用者の少ない施設に補助金を交付する、といった対策を取る自治体が多く見られました。
認可保育所の親切や定員拡大、あるいは待機児童数を見るだけではなく、安定した保育環境を整えるための施策も、その街で子育てしていくためにはチェックしておきたいところです。
また、保育の質も重要。いわゆる「不適切な保育」がニュース等でたびたび話題になっていますが、独自にガイドラインを定めたり、保育士への研修を実施している自治体も増えています。
保育士の人手不足が不適切な保育の要因になっているとして、給与や家賃補助等の待遇改善に取り組む自治体も、2022年は7割を超えました。
多子世帯への支援
2人以上の子どもがいる世帯に対する支援策として、現金を給付する自治体が多く見られました。第2子、第3子となるにつれ、額も上がっていくことが多いようです。
現金以外では、第2子、第3子の保育園・サービス等の利用料を免除・減額するといった支援も。
また、半数以上の自治体では、公的医療保険の対象となった不妊治療の自己負担分に対する、医療費助成を実施しています。
上位の街の取り組み~豊島区
総合編1位の東京都豊島区は、前年の17位から大きくランクアップ。以前、消滅可能性都市として名指しされたこともある同区ですが、今は「子どもと女性にやさしいまち」を区の最重要課題として、子育て支援や少子化対策に取り組んでいます。
都内の自治体の中でも、豊島区は保育園の定員には余裕があります。区立保育園の23年4月入園分では、2月3日時点で0歳児はまだ73人の余裕があります。

出典:豊島区「保育園欠員状況 《令和5年4月2次選考分》」
(https://www.city.toshima.lg.jp/260/kosodate/kosodate/hoikuen/nyuen/documents/050402ketuin.pdf)
認可外保育所の定員にも比較的余裕が見られ、保育園への入園のハードルは比較的低いと言えるでしょう。同調査では「病児保育の収容程度には課題がある」とされましたが、23年度中には1施設が新設される予定です。
さらに、保護者の残業や病気などによる、一時的な保育のニーズに応えるため、ベビーシッターの利用料の一部を助成する制度もあります。子ども一人あたり年144時間(多胎児は288時間)を上限として、1時間当たり最大2500円(22時~翌日7時までの場合は3500円)を支給。23年度も引き続き実施される予定です。
また、地域で子育てを支援できる人を登録したうえで、区のファミリー・サポート・センターが子育て世帯とのマッチングを行うのが、ファミリー・サポート・センター事業です。
利用料は1時間800円(平日の7時~19時)。きょうだいを一緒に預ける場合、2人目からの利用料は半額になります。
その他の子育て支援制度としては、双子や三つ子のいる世帯に、タクシー代として利用できる「こども商品券」を配布しています。0~2歳まで毎年、年2万4000円分が支給されます。
移動の際に「こども商品券」を利用できる事業
- 池袋保健所・長崎健康相談所の母子保健事業(乳幼児健診や相談事業)利用時の移動
- 予防接種受診時の移動
- 産後ケア事業利用時の移動
- 子ども家庭支援センターの相談事業(おめでとう面接、一時保育等)利用時の移動
22年調査のポイントとなった女性のキャリア支援や男性の意識改革においても、区が育休、男性社員向けの研修や相談体制を実施、整備しているかを審査、認定する「ワーク・ライフ・バランス推進企業認定制度」を設けている点など、幅広い分野での取り組みが評価されました。
親の働きやすさも「子育て環境」のひとつ
これまでの「子育てしやすい街」は、保育所の数や定員、経済的な支援策の有無や支給される金額など、わかりやすい“数字”で評価されてきたと言えます。
もちろん、そういった数字は今でも大事ではありますが、共働き世帯が増える中、大人(親)の働きやすさもますます重要になりつつあります。
男性の育児休業取得も推奨されていますが、新しい傾向なので、まだ周囲の理解を得られないこともあるでしょう。そうしたとき、自治体の施策や支援は子育てへの意識を変える契機になりうるはず。
これからは、働くことと子どもを育てることが、より密接な関係を持つようになるでしょう。働く場所も、子育てしやすいかどうかがひとつの決め手になるかもしれません。
住みたい街と働きたい街、双方の視点から街、住まいを選ぶことが、これからの子育て世帯にとって大きな意味を持つでしょう。
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