2019/11/19
住宅ローン金利は上がる? 今後を占う銀行の本音
こんにちは。ひかリノベコーディネーターの香月です。
前回は日銀の金融政策から、2020年の金利動向を予測しました。
今回は銀行側から見た2021年以降の住宅ローンの金利の動向を考えてみたいと思います。
収益確保と低金利競争のジレンマ
まず、住宅ローンの金利が下がるということは私達にとっては嬉しいことですが、当然銀行にとっては収益が下がることを意味します。
とはいえ、住宅ローンというのは貸倒率の非常に低い商品と位置づけられていますので、銀行としてはやはり例え低金利でも住宅ローンで融資をしたい、ということで、2019年は各行での金利競争が行われていたように感じます。
ですが、住宅ローンに重きを置いていては収益を上げていくことは当然出来ません。
そのため各銀行は、保有している資産を日本国債等で安定した運用を行ってきたところがこれまでは多かったのですが、現在は日本国債の割合を減らし、より利回りの高い外国債のを増やしたり、個人への保険や投資信託等、手数料等でも収益を上げていかなければならなくなってきているのです。
将来的に、この市場の流れに対応できない銀行(特に地銀)は赤字を抱え、合併等も増えてくるかもしれません。
各銀行のトレンドは“付加価値で収益を確保”へ
ただし、諸外国では、マイナス金利を導入している国で収益をアップさせている銀行も多いようです。
手数料や金融サービス(保険や証券取引、投資ファンド等)によって収益を確保出来ているようですね。
それに対して日本はというと、手数料や金融サービスでの収益は諸外国と比べ3分の1から半分以下という状況です。
ビジネスモデルを変革しつつある今、住宅ローンを融資するということは、長期的な保険や資産運用等も付随して見込むことが出来る、まさに今後の銀行の未来を繋ぐものとった意味でも、どの銀行も住宅ローンの融資は増やしたいところなのではないでしょうか。
実際、団体信用生命保険(住宅ローンの残債が残っている段階で死亡した場合には、残債がゼロとなる保険)に8大疾病等の特約をつけることが出来るなど、住宅ローンにプラスアルファの商品を導入している銀行も多くなりましたので、医療保険や死亡保険を見直して、団体信用生命保険を厚くするという方も増えています。
ですので、金利は下げるが他の付随するサービスで収益を、という流れは確実に進んでいるように感じます。
いつかは金利を上げざるを得ない
もしも今後、政策金利は上昇せず、住宅ローンの金利も上げられない場合、銀行は他に収益を確保する道を探し続けるでしょう。
そして、住宅ローン以外での収益を確保出来るようになった場合……
- 住宅ローンに頼らなくても良いので金利を上げる
- 住宅ローンに頼らなくても良いから金利は上げない
この正解は誰にも予測は出来ませんね。
来年、再来年等の近い将来ではないかもしれませんが、上記のような銀行の変革の時期は近づいているのかもしれません。
あるいはその前に日本の景気が上向き、住宅ローンの金利が上昇するタイミングが訪れるのか。
将来の金利の動向を予測することは困難ですが、重要なことは、世の中の動きに少しでも敏感になることではないでしょうか。
国を挙げて物価の上昇を目指している以上、近い将来(それが数年後なのか、10年後なのかはわかりませんが)物価も上がり、金利も上昇している、と考えるのがやはり妥当かもしれません。むしろ、そうならなければ日本の経済が心配です。
日本は諸外国と比べても住宅ローンの金利はかなり低いのですから、今後上昇したとしても何ら不思議ではないと思います。
変動金利を選択しようとされている方も、固定金利が良いのかなとお考えの方も、この過去例の無い低金利の今、住宅購入を一歩踏み込んで考えられてみてはいかがでしょうか。