2019/11/11
2020年の住宅ローン金利の動向
マイホームを購入し住宅ローンを組む際に、今後の金利の動向は、誰しも非常に気になるのではないでしょうか。
とくに変動金利を選択しようとお考えの方は、金利の変動が毎月の支払額にダイレクトに影響します。
また固定金利をお考えの方も、融資実行時の金利がずっと続くわけですから、なるべく金利が安いときに借りたい、と誰もが思うはず……。
今回は、2020年の住宅ローンの金利の動向について考えてみたいと思います。
日銀・黒田総裁の「矛盾したメッセージ」?
2019年10月30日に開かれた金融政策決定会合にて、日銀の黒田総裁は追加緩和を見送りました。
しかし黒田総裁は、現在マイナス0.1%の短期政策金利を「これ以上深堀りできないことはない」とも会見で述べたのです。
「追加緩和を見送る」ということは文字通り、現状ではこれ以上政策金利を下げません、ということです。
しかし「マイナス金利を深堀できないことはない」ということは、現在のマイナス0.1%から更に金利を下げる余地がある、ということです。
なんだか矛盾しているようですが……???
マイナス金利というのは、民間の銀行が日銀に預けている預金に対する金利をマイナスにし、負担を課すことで、日銀に預けるのではなく外への融資を増やすように仕向け、世の中にお金を回し、物価を上げていこう、という政策です。
そのため当時の金融界からの反発は(銀行の負担が増えるので)相当なものでした。
そこから更に下げるということは、さらなる反発は必至です。
しかし、黒田総裁はそんな状況の中で、現在のマイナス0.1%から更に金利を下げる可能性を示唆したわけです。
そこにはどんな意味があるのでしょうか?
マイナス金利はさらに進行するのか
現在世界的に金融緩和の動きが強まっている中で、約6年前から「異次元緩和政策」を進める日本にとっては、更なる緩和はやはりハードルは高いでしょう。
そこで基本的には緩和しない姿勢は見せつつも、緩和に消極的な姿勢を取ることは円高につながる恐れもあり、対外的なことも考慮して、どっちつかずの姿勢をとった……といったところではないでしょうか。
以前、黒田総裁は「2020年春ごろまでは現在の政策金利を続ける」という意向でしたが、今回の会合では2020年という数字自体を削除し、「相当長く現在の低い金利、あるいはさらにそれよりも低位の金利もありうる」と説明しています。
相当長引くというのはどの程度なのか、何ともぼかしたニュアンスですが……要は想定していた物価の上昇が達成出来ていないため、見通しが立てられていない、ということに他なりません。
住宅ローンへの影響は?
では、実際の各銀行の住宅ローンの金利に関してはというと、昨年2018年は「もうここから住宅ローンの金利が下がることは考えられない」という見解が大多数でしたが、2019年に入り金利は更に下がりました。
この現象は、日銀の政策の影響というよりは「金利が低く収益は上げにくいが、住宅ローンは融資したい」といった銀行側の背景が垣間見られます。(この点は次回掘り下げたいと思います)
そのことにより、現在銀行間では低金利合戦が起こっているのだと感じます。
2020年は低金利が続く見込み
黒田総裁の目指す物価上昇率2%ですが、なかなか理想には追い付けていません。
この状況を考えると、住宅ローンの低金利が2020年も続く可能性は、十分に考えられるのではないでしょうか。
しかし危惧されるのは、果たしてこの低金利で銀行は利益を出していけるのか。
耐えられずに金利を上げる銀行が出現し、それを受けて他行も次々と金利を上げていく……という連鎖は考えられないものでしょうか。
はたして2021年以降はどうなっていくのか。
次回は各銀行側からの視点から、今後の住宅ローン、そして銀行の将来について、長期的な目線で考えてみたいと思います。