リノベーションと水回り 抑えておきたいことってなに?
水回りには要注意
中古マンションのリノベーションを成功させるためには、いろいろと注意したいポイントがあります。とりわけ、重要となるのが水回りです。
水回りとは、キッチンや浴室、トイレ、洗面所といった住宅の中で水を使う設備や場所のこと。その配置や使い勝手により、暮らしやすさや家事の効率が大きく変わってきます。
また、水回りに何か不具合があるとカビや水漏れなどのトラブルにつながります。そうなると、生活に大きな支障をきたし、修繕費も多額になりがちです。
したがって、水回りの工事の際は、設計前の段階からよく検討する必要があるのですが、マンションの場合は特有の事情があります。
基本的にマンションの専有部分については、そのオーナーが自由に変更や改修ができます。しかし、専有部分であっても、水回り部分は建物の構造と管理規約により制限されることがあるのです。
では、マンションで水回りを含めた改修工事を行うにあたって、どのようなことに気をつければいいのでしょう?
マンションの水回り工事で大切なこと
まず、水回りと切っても切れないのが、配管。マンション全体では、外部から給排水のための配管を各階に貫通させる配置となっています。この配管から各戸(専有部分)への給排水管をつなげているのです。
そのため、専有部分内の給排水管の大元となるパイプスペース(PS)は共用部分にあたり、移動できません。
専有部分内でも排水のための勾配や換気ルートを確保するため、キッチン、浴室、トイレなど設備の交換はできますが、移動には制限があります。また、給湯器も交換はできても、容量の大きなものにしたり、配置を変えたりといった場合は制約があるケースも少なくありません。
こうした制限や制約は、マンションの構造と管理規約によるもの。マンションによって制限されることは異なり、構造上は変更が可能でも管理規約によって禁止されていることもあるのです。
そこで、非常に大切になるのが、事前の確認。工事業者による構造のチェックはもちろん、管理規約について管理組合や管理会社によく確認してから、リノベーションを進めましょう。加えて、以上のようなマンション特有の事情から、マンションのリノベーションの知識や経験が豊富な業者に依頼することも重要となります。
快適で使いやすい水回りスペースにするために
水回り工事についての制限や制約が確認できたら、施主としての希望を業者に伝え、設計を進めることになります。リノベーションで快適で使いやすい水回りスペースにするために、次のようなことに気をつけましょう。
水回りへの家族の動線をチェック
水回りの設備・スペースは家族みんなで使うもの。同時に複数の人数で使うこともあります。混乱や混雑しないような配置にするため、家族一人一人の水回りスペースへの動線を確認しておきましょう。
年齢によって使い勝手が変わる
住む人の年齢によって、水回り設備の使い勝手が異なります。小さなお子さんや高齢者のいる家庭では、居室から水回りスペースまでの距離、浴槽のまたぎの高さや深さ、滑りにくい床の材質などに配慮が必要です。高齢者にとって、座る・立つの動作をしやすくするためには、手すりをつけることも考え、スペースを広めにとることをおすすめします。
設備類はカタログだけで決めない
リノベーションでは、ユニットバスや便器など水回り設備を全て新品に入れ替えます。浴槽や流し台などが使いやすいかどうかは、実物モデルに触れてみないとわからないことが多いものです。
そうした設備を選ぶにあたって、カタログを見ただけで決めるのではなく、メーカーのショールームなどで、実物を見て確認することをおすすめします。その際は、新しい住居に住む予定の家族全員で出かけるといいですね。
意外?音のことも考える
回り設備を移動させる場合、給排水や換気に加え、「音」にも注意が必要です。水を流す音は意外に大きく上下階の部屋に響きます。騒音とならないよう、配置や設備について、業者とよく相談しましょう。
水回りは家族全員が毎日使うものです。不便や不具合があると生活の質に影響し、家自体が暮らしにくいものとなってしまいます。そういったことから、水回りは住宅のかなめといえるかもしれませんね。
リノベーションにあたっては、マンション特有の事情も踏まえ、以上の注意点を参考に設計や工事を進めていただければと思います。