2019/2/16
物件購入前にインスペクションで建物の状態をチェック
こんにちは、ひかリノベ設計の大宮です。
昨年(2018年)4月1日から、既存住宅(中古住宅)を購入する際に、インスペクション(建物状況調査)の告知・斡旋することが義務化されました。
簡単にいうと、買主は宅建業者(不動産屋)に対し、インスペクションについて説明を受けて、調査を依頼出来るようになりました。
※調査には費用が発生するので、しないという選択も当然あります。
とはいえ、インスペクションで具体的に何がわかるのか? どんなことを調査するのか? といった情報はまだまだ少ないように感じます。
本日はインスペクションの検査内容と調査方法について、建築士の立場から改めて解説を致します。
1.構造耐力上主要な部分のチェック
「構造耐力上主要な部分」とは、建物を支えるためにとくに重要な部分のこと。具体的には、次の3点をチェックしていきます。
- 基礎・土台・床組
- 床・壁(内壁)・柱
- 梁・小屋組
それでは、チェックの方法を一つずつご説明します。
基礎・土台・床組
基礎はコンクリートのひび割れ、欠損、さび汁を伴うひび割れ、鉄筋の露出などがないかチェックします。
下の写真のようなクラックの状態ですと、基礎の中にある鉄筋まで達している可能性があります。
土台・床組は、床下点検口から入って目視で点検をします。ひび割れ、欠損、劣化に加え、シロアリ被害による腐食がないか、チェックします。
基礎のひび割れ
床・壁(内壁)・柱
床の傾きをレーザーレベルやデジタル水平器等の計測機器を使って調査します。
床の傾斜が6/1,000以上の場合は劣化があると考えます。「傾斜が6/1,000以上」とは、水平方向1mあたり高さ方向に6mm以上の高低差がある、ということです。
柱・壁は、傾きをレーザーレベルや水平器等の計測機を使って調査します。また、下地まで達するひび割れを目視によりチェックします。
床と同様、柱・内壁の傾斜が6/1,000以上の場合は劣化があると考えます。
床面にデジタル水平器を当てて、床の傾きを検査
壁の傾きを測るため、レーザーをあてる
梁・小屋組
梁・小屋組(屋根を支えるもの)は、点検口等から覗き込んでライトを当てて目視します。
天井点検口
点検口から見た小屋組
2.雨水の侵入を防止する部分のチェック
雨漏りしていないかどうか、下記の部位をチェックします。
- 屋根
- バルコニー(防水層)
- 外壁・軒裏・バルコニー(仕上げ・コーキング)
- 天井裏・小屋組
- 内壁
屋根の小屋組や天井裏、外壁に面している内壁といった建物内部も調査の対象となります。
下の写真のようにサイディング間のコーキングや、サッシとサイディング間のコーキングが痛んでくる例はとくに多く、外壁本体(サイディング)破損よりもよく見られます。
外壁コーキング部分のクラック
天井裏の雨漏り
3.配管設備のチェック
給水管・給湯管・配水管・換気ダクトの状態を調査します。
可能であれば通水して、水漏れや赤水をチェックいたします。
見えるところや触れられる箇所は目視や触診をして、管に劣化が無いか確認いたします。
床下点検口から見た排水管
4.最後に
木造住宅は、外観はきれいでなくとも内部、とくに柱や梁はしっかりしている場合が多いです。
外壁や内壁は、新たに塗装をしたり貼り直したり出来ます。
また逆に、外観や内部の床や壁も一見きれいな場合でも、傾斜を測ると傾いている、というケースもあります。
歩いても感じない程度の傾斜なら問題ない、と思うかもしれませんが、頭では感じていなくとも体は敏感で、めまいや睡眠障害等の健康被害が発生することもあります(健康被害には個人差があリます)
住宅の購入は、特に中古住宅は、見た目の綺麗さに惑わされず、内部の状態も可能な限りしっかり把握することが大切です。
ひかリノベでは、ご希望の方に購入前のインスペクションを実施しております。詳細は下記のページから。
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