マンション購入前に知っておきたい構造についての基礎知識
マンションを選ぶ際には、もちろん間取りや設備などで選ぶ人も多いものですが、最近増えているのがマンションの構造で選ぶ人です。
阪神大震災や東日本大震災が発生して以降、マンション購入の際に構造や工法を重視して選ぶ人が増えてきました。
建築基準法が改正された1981年以降に建設されたマンションであれば、ある程度の地震にも十分対応できる強さを持っていますが、それでも構造を気にする人は多いようです。
マンションを何で支えているか
マンションの構造と一口に言っても、様々な分類の仕方があります。
まず最も大まかな分類として、マンションの組み立て方による構造の分類方法があります。
これは大きく分けて2つに分類され、「ラーメン構造」と「壁式構造」です。
ラーメン構造
「ラーメン」はドイツ語で「構造」の意味を持つ単語で、簡単にいうと柱と梁を使って建物を支える構造のことです。
柱や梁は長方形に組まれるのですが、その接合箇所を溶接などしてくっつけることによって完成させます。
マンションの中でも、鉄筋コンクリート造や鉄骨造でよく見られる工法です。
マンション内部を見てみますと、柱や梁の部分が居室の内側に出っ張っていますので、その分狭さを感じるかもしれません。
しかし、ラーメン構造のメリットは数多くあります。
この工法を使えば比較的大きな部屋を作ることもできますし、柱と梁さえ残しておけばリフォームやリノベーションによって間取りを変更しても耐震性に変わりはありません。
長く魅力的なマンションであり続けるマンションは、生まれ変わりやすいラーメン構造が適しています。
壁式構造
もうひとつの工法である壁式構造ですが、この工法で支えとなるのは壁と床です。
ラーメン構造が柱と梁という「線」で支えているのに対して、壁式構造は床と壁という「面」で支えていることが大きな違いです。
メリットとしては、柱や梁のでっぱりがない分、部屋を広く使えることがあります。
しかし、壁も建物を支える構造の一部ですので、リフォームで間取りを変更しようと思っても容易に壁をぶち抜けません。
ですので、リノベーションをしようと思っても、壁式構造では難しいのです。
柱や梁の材料そのものの強度が増してきており、ラーメン構造でも十分に耐震性が確保されるため、最近では、ラーメン構造のマンションが多くなってきました。
柱は何でできているか
ラーメン構造の要となるのが柱です。
柱をどんな材質で作るか、これが耐震性を大きく左右するといっても過言ではありません。
鉄筋コンクリート
まずは鉄筋コンクリート造で、これはまず鉄筋をつくってその外側をコンクリートで固める工法です。
鉄筋は引っ張られる力には強いが圧縮の力には弱く、コンクリートは引っ張られる力には弱いが圧縮の力には強いです。
両者の弱点を補う工法が鉄筋コンクリート造です。
8階建て程度のマンションに多い工法ですね。
鉄骨鉄筋コンクリート
次に鉄骨鉄筋コンクリート造です。
これは、まず鉄骨で骨組みを造りその周囲を鉄筋で覆います。
そしてその後に、コンクリートを流し込んで一体化する工法のことです。
骨組みにさらに鉄骨を通していますので、最も強度面では優れており、地震はもちろんのこと、火事や水害にも強さを発揮します。
ただし鉄骨をくみ上げる分工事期間が長くかかり、コストもかさむのが難点です。
そのため、低層階部分のみを鉄筋鉄骨コンクリートにして高層階を鉄筋コンクリートにすることで、工期を短縮しコストも抑えるやり方もあります。
高層マンションにおいて多く採用されている工法です。
鉄骨
そして鉄骨造です。
超高層マンションにおいて採用されるケースが多い工法です。
超高層マンションを建設する際に、仮に鉄骨鉄筋コンクリート造を採用したらどうなるでしょうか。
建物自体の重さだけで相当な重さになるため、低層階のコンクリートは相当な量にしなければ、低層階は自らの重みでつぶれてしまいます。
そこで超高層マンションを建設する際には、低層階のみを鉄骨鉄筋コンクリートとして、高層階部分は鉄骨のみにする工法です。
こうすることによって、下の強度を増しながら上の部分の軽量化も果たせます。
鉄骨造にすることによって広い空間を生み出すことも可能ですが、風によって建物が若干揺れますので、制振装置を取り付けるのが一般的となっています。
地震に対する構造
耐震構造は、大きく分けて3種類あります。
1つ目は「耐震構造」。
建物をしなやかにする構造と、梁や柱を太くすることで耐える構造がありますが、後者ですと部屋が狭くなる傾向があります。
2つ目は「免震構造」です。
建物の基礎部分に地震対策用の装置をはさむことで、揺れを軽減するものです。
柱や梁を太くする必要はありませんが、その分装置のメンテナンス費用がかかってしまいます。
3つ目は「制震構造」です。
装置を使うところは免震構造と同じなのですが、メンテナンスフリーなのが異なるところです。
しかし、免震構造よりは揺れは若干大きくなります。