リノベーションでできること・できないこと -管理規約-
マンションのリノベーションにあたっての制限とは
新築マンションの価格が割高となっている昨今、中古マンションを購入してリノベーションを考える人が増えています。
リノベーションとは、マンションの場合、いったん全ての内装や設備を撤去し、ゼロから設計しなおす大がかりな改修工事のこと。施主の希望通りの間取りや内装にでき、理想の住まいが手に入ります。気になる費用は、同様の面積の新築物件の6〜8割ほどといわれています。
マイホーム取得の手段として、中古マンションのリノベーションは、魅力的ですね。とはいえ、マンションのリノベーションにあたっては、制限や制約があります。
マンションは複数の世帯が使用する共同住宅ですから、エントランスホール、階段などの共用部分があるのはおわかりですね。これに対し、各戸のオーナーが所有するのが占有部分。
基本的に各オーナーが自由に改修工事を行えるのは専有部分のみで、共用部分を変更はできません。
そこで、注意したいのが、専有部分内であっても改修が制限される部分があるということ。また、各戸のバルコニーや玄関ドアなども共用部分にあたり、自由に変更できないのです。
マンションのリノベーションをスムーズに行うために、基本的にリノベーションでできることとできないことを知っておきましょう。
マンションのリノベーションでできること
マンションのリノベーションでは、主に次のようなことができます。
自由な間取変更
ラーメン構造の建物であれば、自由に間取り変更ができます。ただし、建物の排水方式によっては、キッチン、浴室、トイレといった水回り設備の移動が制限されることも。
自由な内装デザイン
壁紙や室内建具などお好みのものが選べます。オリジナルデザインでキッチンカウンターや造り付け家具を造作することも可能。床については、管理規約でフローリングへの変更を制限しているマンションもあります。
設備の交換
システムキッチン、ユニットバス、トイレなど全て最新の設備に交換できます。マンションの構造や管理規約によっては、キッチンの移動や浴室のサイズアップも可能です。
コンセントやスイッチの移動や増設
変更した間取りに合わせて、使いやすい位置に電源コンセントやスイッチを移動、増設することができます。
天井高の変更
コンクリートの内側までは占有部分となるので、そこまでなら天井高を上げることができます。
バリアフリー化
床の段差をなくす、ドアを引き戸に変更、浴室やトイレに手すりをつけるといったことでバリアフリー化することが可能です。工事の内容によっては、部分的に介護保険も適用されます。
マンションのリノベーションでできないこと
マンションのリノベーションで制限されること、できないことは次の通りです。
玄関ドアの交換
各戸の玄関ドアは共用部分にあたるため、交換することはできませんが、ドア内側の塗装をすることはできます。
パイプスペースの移動
給排水管やガス管は共用部分なので、移動させることはできません。
バルコニーの増改築
共用部分のため、各戸のオーナーが増改築することはできません。また、非常時に避難経路となるため、じゃまになるものを置いてはいけません。日よけなどの設置については、管理規約によります。
給湯器の移動・容量アップ
同様のタイプ、容量の給湯器への交換はできますが、移動や容量の大きなものへの交換はできない場合があります。
電気容量のアップ
マンションは1戸あたりの電気容量に制限があります。ガスコンロからIHへの変更などに注意が必要です。
リノベーションのメリットを活かすために
リノベーションでできる・できないといっても、幅があることにお気づきでしょうか。マンションのリノベーションの制限は、建物の構造と管理規約にもとづくもの。構造・規約ともマンションごとに異なるので、リノベーションついての取り決めの詳細もマンションによって異なります。
したがって、できることとできないことを見きわめるためには、しっかりと構造や管理規約をチェックする必要があるのです。
間取りなど自由に設計でき、内装や設備も新品にできるのがリノベーションの大きなメリットです。そのメリットを最大限に活かすために、物件選びの段階からできることとできないことを確認しましょう。そして、どのような改修や変更ができるのかリノベーション業者と相談することが重要なのです。
例えば、キッチンをオール電化にしたいなら、それに見合う電気容量のマンションを選ぶ必要がありますね。また、水回りの移動ができなくても、出入口の方向を変えたりすることで、使いやすくなることもあります。
リノベーションで理想の住まい作りができるよう、以上の情報を役立ていただければ幸いです。