2019/9/3
伝統的な日本の住まいからのヒント~和のしつらいから学ぶこと②
こんにちは。五反田ショールームの水谷です。
8月が終わり、暑さも一段落といったところでしょうか。今年の夏は熱帯夜が24日間(観測史上2位!)も続くなど、酷暑の夏となりました。
暑さが落ち着いたこの時期、夏の疲れがどっと出やすいものです。このブログを読んでくださっている皆様は、体調などくずされておりませんでしょうか?
さて、3月のブログでは、「和のしつらいから学ぶこと①」として、日本の伝統的な「床の間」についてお話しさせていただきました。
今回は日本の住まいが、この日本特有の四季をどのように取り入れてきたのか?や、現代の住まいへのヒントなどについてお話しさせていただきたいと思います。
出典:ニチベイ(https://www.nichi-bei.co.jp/)
1.材料は木、紙、土などの自然素材
いま、住まいづくりでは、リノベーションがとても人気です。
新しいものだけに囲まれるのではなく、内装材に古材をつかったり、新しいものでも、あえて年月の経ったような素材をつかうなど、ヴィンテージスタイルがとても好まれます。
また戸建てなどでは、古民家再生や古民家カフェが人気だったり、一般の木造住宅でも柱や梁などの構造材を見せるインテリアも多くなってきています。
これらの共通する点は、内装材に木をつかったり、既存の障子を残したり、珪藻土や漆喰など、木や紙、土などの自然素材をとりいれることです。
自然素材は、材料そのものが呼吸をしていて、調湿効果などの機能面がすぐれているだけでなく、見た目のやさしさ、素材そのものの香り、障子紙を通したやさしい光、そして手触りなど、私たちの五感にも働きかけてくれますね。
出典:LIXIL(https://www.lixil.co.jp/)
2.フレキシブルな間取り
西洋の住宅になくて、日本の住宅にあるものと言えば、ふすまや引き戸ですね。
大勢人が集まる時には、2間続きの部屋のふすまをはずして大広間のように、また、ふすまを全部閉めればあっというまに個室の完成です。用途に合わせてフレキシブルに対応できます。
また引き戸はドアのように開けるか閉めるかの2通りではなく、用途に合わせて微調整、コントロールができるところが魅力です。
例えば少しだけ外からの光を遮りたいとき、家族の気配は感じていたいけれど、ちょっとだけ静かになりたい時などは、お部屋のふすまや引き戸を少しだけ閉めておき、半個室のように使用できますね。
各部屋の引き戸を少し開けておくだけで、家全体に風が通り、通気性が良いお家になります。
出典:WODONE(https://www.woodone.co.jp/)
3.間口が狭くて長細い京町屋
伝統的な日本の住まいと言えば、京町屋を思い浮かべる方も多くいらっしゃると思います。
盆地で夏が暑い京都の人は、昔から家の中に風を通す工夫をして、夏の暑さをしのいできました。
通りに面する側には風通しの良い「表格子」を、また「坪庭」に打ち水をして温度差をつくったり、庭の木々や緑などは、視覚で感じる「涼」ですね。
京都だけでなく、国土が南北に長い日本では、気候もさまざまでその地方ごとに独自の文化ができて、伝統的な住まいづくりに特色をもっています。
しかし共通していえるのは、やはり自然素材をうまく取り入れ、自然と共存し、自然に寄り添った、人にやさしい住まいなのではないでしょうか。
出典:Panasonic(https://sumai.panasonic.jp/)
4.今でも人気!引き戸や間仕切り
以前からお客様からご希望が多いのが、リビングの隣のお部屋を間仕切り建具で仕切りたいというご要望。
日頃は広いLDKで使用し、書斎や来客などで使用する際は間仕切りを活用して、個室として。この使い方はまさに現代のふすまですね!
また間仕切り以外でも「できるだけ引き戸を」、とご希望される方も多くいらっしゃいます。
このようにみてみますと現代の住まいも、西洋のスタイルを取り入れながらも、伝統的な日本の住まいからヒントを得ているのかもしれませんね。
また長い年月をかけてこれまで残ってきたり、一度なくなっても再度見直されてきたスタイルというのは、いろいろなところで見受けられます。
昔の濡れ縁はウッドデッキに、昔の縁側は今大人気のインナーバルコニーに、そして建具の上の欄間は、室内窓などで昔からの用途は変わらず、でもデザインや呼び方は新しく生まれ変わっているものもたくさんあるのですね。
出典:Panasonic(https://sumai.panasonic.jp/)