2019/3/29
床の間のエッセンスを取り入れて~和のしつらいから学ぶこと①
こんにちは 五反田ショールームの水谷です。
日に日に暖かくなり、春が待ち遠しい季節となりました。東京ではそろそろ桜が満開になりそうですね。
日本人は昔から、季節の移り変わりに敏感で、その季節ごとに自然を取り入れ、様々な行事を楽しんできました。
今月の3日にも桃の節句(ひな祭り)がありましたね。ひな人形を飾ったり、桃を生けたり、桜餅(または、ひなケーキ? など)を召し上がった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
1.日本人に好まれていた、自然を取り入れた暮らし
日本には二十四節気(にじゅうしせっき)があり、1年を季節ごとに24等分して、「立春」をはじめ、春分・秋分・夏至・冬至などそれぞれに季節を表す名前がついています。カレンダーでもおなじみですね。
また昔の住まいには、和室に「床の間」を設けて、そこに季節の掛け軸やお花を飾ったりしたのです。とても風情がありますよね。
近年の住宅では和室も珍しくなり、和室のないお家で育った方も多いと思います。
しかし最近では若い世代の方々が和室を好まれたり、小さくても畳スペースをご希望されることが多いように感じます。
日本人の遺伝子なのでしょうか。いえ、日本の方に限らず外国の方も和室を好まれますから、やはり和室には洋室にはない良さがたくさんあるのでしょうね。
引用:Panasonic https://www.garageland.jp/lighting-images/daining02/SF352C.html
2.「床の間」のかわりになる、ちょっとしたゆとりのスペース
伝統的な和室の床の間の大きさは、一間(幅およそ180㎝、奥行きおよそ90㎝)または半間(幅およそ90㎝)ですが、今の日本の住宅事情から考えますと、「このスペースを収納や、部屋を広くする方に使いたい!」と思われるのが当然だと思います。
しかし、純和室のお部屋でなくとも、畳のお部屋や畳スペースに床の間のように利用できる、ちょっとしたゆとりのスペースを設けることはできるのです。
引用:Panasonic http://sumai.panasonic.jp/interior/miriyo/horizataku/plan/plan.html
例えば、一間までとれなくてもその半分のスペースや奥行きも半分の45㎝くらいのスペースで床の間をプランする。
または床の間までつくらなくても、ニッチ(壁面のくぼみや隙間を利用した空間)や造作カウンターをプランして、そこにお花を飾って季節を楽しんだり、近代アートの作品を飾ったりして和モダン空間を楽しむことができます。また、間接照明などを取り入れれば、さらに空間に表情がでますね。
引用:EIDAI https://www.eidai.com/
3.空間に視点をあつめる「アイスポット」
インテリアでは視点をあつめる場所として、「アイスポット」という考え方があり、和室では「床の間」や床の間に飾った掛け軸などがそれにあたります。
西洋の住宅では暖炉やマントルピースなどがそれにちかいでしょうか。
どこにも視点がとどまらない空間よりも、アイスポットがあることで、リラックスでき、空間にもアクセントができますね。
どうしても床の間やそれにかわるスペースをプランすることが難しい場合は、置き家具などがかわりになる場合もあります。
奥行きのあまり深くないチェストやコンソールテーブルなどを配置すれば、素敵な空間が出来上がりますよ。
引用:CANDE HOUSE https://www.condehouse.co.jp/products/series/detail.php?series_id=68
今回は日本の伝統的なしつらい「床の間」のエッセンスを取り入れた空間についてお話しさせていただきました。
伝統的な和室から学ぶことは、まだまだたくさんありそうですね。
特に意識をしなくても、ただそこにゆとりのスペースがあるだけで、「お花を飾ろう」「季節を楽しもう」と自然に行動されることがあるかもしれません。
またそのような空間があることで、お家全体に芯ができ、ひきしまった印象が感じられるかもしれません。
引用:LIXIL https://www.lixil.co.jp/lineup/livingroom_bedroom/shinwafu/
シニアの方々だけでなく、若い世代の方々の中には和室を好まれる以外にも、お子様のために雛人形や五月人形を飾ったり、季節の行事を大切にしたい、とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。
そのような方々には「床の間」のエッセンスをとりいれたスペースが、きっと大活躍してくれると思います。
引用:DAIKEN https://www.daiken.jp/product/detail/tatami/11100066.html