内装も、家具も。トータルに作り込まれた世界観

「ほかにはない、ちょっと変わった部屋に住みたくて、リノベーション物件を探していた」というIさま。

マンションの購入を考えはじめた当初は、リノベーション済みの物件を中心に探していましたが、これという部屋は見つからなかった、といいます。

「自分が好きな部屋は、やっぱり自分で作るしかない！ と分かって、手付かずの中古を買ってリノベしようと方針が固まったんです。でも、好きなテイストは自分の中で決まっていても、間取りとか、家具の配置とか、具体的にどうしたら素敵な部屋が出来るのかは分からなかった。ひかリノベさんは照明や家具までトータルでプランをつくってもらえると聞いて、それなら私にもできる！ と思いました」

そうして完成したお家は、アメリカンヴィンテージの中に、小上がりの畳スペースで和の要素を取り入れた、ユニークなテイスト。

「よくニューヨークで和風テイストが人気！ とか見ますけど、実際の日本と若干違うぞってことがありませんか？ そういうのって面白いなと思って」



オールドアメリカンな雰囲気のバーカウンターをしつらえた対面キッチンに、使い込んだ風合いの木とアイアンで揃えたブルックリンスタイルの家具や照明。
小上がり畳は色違いの縁なし畳を組み合わせ、純和風とは一風変わったデザインです。

「小上がりの畳はソファ感覚で腰かけたり、ごろんと横になっても気持ち良い。壁のデスクカウンターで書道とか、和の趣味をはじめてみるのも楽しそう」

ミッドセンチュリー風の革張りのカウチはIさまのご持参品ですが、お部屋のテイストにぴったりとマッチしています。もともとこういうテイストがお好きだったのですか？ と尋ねると、じつは「こういう発想は、自分の中には無かった」といいます。

「もともとは鮮やかなピンクなどを使った、バリ風のデザインが好きだったんです。でもひかリノベさんの過去の施工事例でヴィンテージ風のデザインを見かけて、こんなのもあるんだ！ って“発見”して。メインのLDKはこういうテイストで、洗面室やトイレなどの水廻りはバリっぽい雰囲気と、両方取り入れた形にしました」

Iさまのように、一つだけでなく複数のテイストを取り入れたいという方は少なくありません。そんなとき、洗面室やトイレなどの独立した空間は、ほかとはガラリと変わったデザインを取り入れやすいのです。

水廻りを大きく移動。構造壁の有無がポイント

Iさま邸のプランのもう一つの特徴は、水廻りを含む間取りを大きく変更したこと。

マンションの狭いお風呂にずっと不満をもっていたというIさまは、「広い浴槽に足を伸ばして浸かりたい」と希望していました。しかし、既存の浴室は、狭い空間に浴槽とトイレが設置された、Iさまの希望とは真逆の状態……。

「最初に内覧で見たときは、すこし不安になりました。壁は全部壊せるからと言われても、完成後がぜんぜん想像できなかった。提案された間取り図やパースを見て、本当に『全部壊して新しい部屋をつくるんだ』と実感したので、購入に踏み切れましたけど、それが無かったら決断できなかったかも」

手付かずの中古物件は、内装や設備に使用感が残っていたり、現代の生活にそぐわない間取りであったりと、「ここに住むの？」と驚いてしまうこともしばしば。スケルトンリノベーションですべて解体するのだから……と頭では分かっていても、「本当にこれが変わるの？」と心配になってしまうかもしれません。

そのためひかリノベでは、物件探しのまえにお客さまの要望をヒアリングして、内覧時にイメージパースをお持ちしています。
また、プランの概要を決めたうえで内覧に臨めるため、間取り変更の障壁となる構造壁（建物の構造上壊せない壁）が無いかなど、プランに合った物件選びが可能となります。



Iさま邸の場合、もとの状態は玄関から続く廊下が折れ曲がっており、光が届かず、動線もよくない。居室も壁で細かく遮られ、窓に面した部屋以外は暗く、狭いという課題がありました。
しかし、どの壁もすべて撤去可能な構造であったため、間取りを抜本的に変えることができたのです。

もともと浴室だった場所は洗面室に。足を伸ばせる広さの浴槽は、キッチンだったスペースを利用して、浴室を拡張することで実現しました。廊下は短い直線のシンプルな動線に。土間も広げて、以前の閉塞感はまったく感じません。

「玄関の位置と梁以外はすべて変わりました。もちろん建物のつくりによるんでしょうけど、スケルトンリノベーションって、こんなに自由になるですね。当初の計画のまま、リノベ済み物件を選んでいたら、きっとデザインか間取りか、どこかで妥協せざるを得なかったと思います」