好きなものしかない空間でおばあちゃんになるまで暮らしたい
エリア | 東京23区エリア |
---|---|
家族構成 | 一人暮らし |
面積 | 47.25㎡ |
間取り | 2DK → 1LDK |
テイスト | モダン |
特徴 | バリアフリー, |
リノベ費用概算 | 9,000,000円 |
ずっと住む家だから、何十年先も愛せる家にしたい
「リノベーション」という言葉もすっかり一般的になりましたが、5、6年ほど前は、とくに住宅の場合は、古くなって壊れた箇所を直す「リフォーム」が主流でした。戸建住宅の改築や増築ならまだしも、マンションをリノベーションして住むって……? という人が、まだまだ多かったのではないでしょうか。そんな当時から、Tさまはイタリアンのお店を経営している友人を通じてリノベーションについて知り、憧れを抱いていたといいます。
「その友人夫婦が古いビルをリノベして、住居兼店舗にしていたんです。それを見て私も、小ぢんまりした古い建物で、一階はお店、二階は自分の家にして……と想像して、『いつかやりたい!』とずーっと思ってたんですよ」
念願だったリノベーション、イメージはすでに決まっていたか? というと、実際は「漠然と好きなテイストっていうのはあったんだけど、それも打ち合わせの中で変わっていった」とのこと。
「最初はコンクリート打ちっぱなしとか、ちょっと無骨でゴツゴツした感じ。ネイビーとグレーで壁をツートーンに塗装したり、せっかくなら尖ったことしたいと思ってたんですけど、設計の大宮さんと話しているうちにふと冷静になって(笑)10年、20年先まで暮らすことを考えたら、ちょっと待てよ、と」
最終的に、躯体あらわしに塗装というアイデアはそのまま、色調をホワイト~グレーを貴重とした淡いグラデーションで仕上げました。
「おばあちゃんになっても、しっくりと暮らせる家になったと思います」
とくにお気に入りの場所は、キッチン。カウンター側、シンク側、コンロわきの壁と、三面にデザイン違いのタイルをしつらえました。
「昔から、カクカクっとしたデザインが好きなんです。理由は自分でもよく分からないんですけど(笑)」
背面の壁には、Tさまが旅先で集めたジンのコレクションをディスプレイ。夜はその日の気分に合わせたお酒を飲みながら、大好きな音楽に耳を傾けるひとときが、Tさまのリラックスタイムです(キッチンにスピーカーが置いてあるのは、そういう理由だったんですね)。
料理好きのTさまは、使い勝手にもこだわりがありました。作業動線を短くしたいので、ワークトップの幅はコンパクトな方が良い。逆に通路はなるべく広くして、背面の調理家電やスパイス類が使いやすいように。
シンク下収納は、通常の開き戸タイプではなく、引き出し式。これも「お婆ちゃんになったとき、屈まなくていいので」と、先々を考えた選択でした。
家選びは、未来の自分を選択すること
こちらのマンションを購入する前は、ご実家で暮らしていたTさま。しかし、「やっぱり独立した自分の家が欲しい」と考えはじめたことが、購入のきっかけになったといいます。
「以前は一人暮らしをしていた時期もけっこう長かったんですよ。渋谷、目黒、港区の方とか、いろんなところに住んだけど、やっぱり賃貸だし、そこに定住するって感じじゃなかった。もう一度一人暮らしをするときは、借り物じゃない自分の家がいいなって」
Tさまが定住の地として選んだのは、幼い頃から住み慣れた足立区エリアです。都内のどこに行くにも一時間くらいで出かけられ、路線の選択肢も複数ある。また、人々の生活の気配が感じられる下町の雰囲気も、Tさまにとってアイデンティティの一つだといいます。
「もっと郊外でも通勤には問題ないし、価格的にも安くなるから、選択肢にはあったんですが、あまり閑静なところは寂しい気がして。エリアを決めるには、街の雰囲気が自分に合うかどうかも重要だと思う」
何より決め手になったのは、ご実家から歩いて5分くらいの立地です。両親が将来サポートが必要になったとき、すぐ通える距離。
「いまはまだ元気でも、年齢的にそろそろ考えておいたほうが安心ですよね」
気軽に引っ越せる賃貸と違い、マイホームは数十年先のことまで考えたプランや物件選びが必要になります。そのため購入を機に、それまで漠然としていた未来の自分や、家族の暮らしについて、具体的に考えるようになったというお客様は少なくありません。Tさまも、プランや資金計画の打ち合わせを重ねる中で、20年後、30年後の未来図が明確になっていったといいます。
「将来について考えることは、前はなんとなく不安だったけれど、いまは安心に変わりました。このマンションは築41年だから、年配の方が多めなんですけど、それで自分の将来の暮らしがイメージできた部分もあります。たぶん階は違うんですけど、ときどき見かける方で、すごくオシャレなおじいちゃんがいるんです。あんな風に暮らせたら素敵だなあ」