共働き夫婦の忙しい毎日をサポートする家づくり

料理、掃除、洗濯といった家事を効率的に、ストレスなく行えること。
共働きで忙しい毎日を送るF様夫妻にとって、それがリノベーションの最優先事項でした。
とくにストレスになっていたのは、洗濯時の動線。
「洗面室の洗濯機から取り出した洗濯物を、バルコニーに持って行って干し、リビングで畳んだあとクローゼットへ……と家中を動き回らなくてはいけないのが、疲れているときは億劫で……」
そこで設計担当・木村が提案したのは、洗濯から乾燥、アイロン掛けまでを完結できる「ランドリールーム」です。

洗濯機・乾燥機・物干し・アイロン台を集約した「ランドリールーム」

一般的なマンションの間取りでは、洗面脱衣室に洗濯機置き場があり、ベランダに物干しがあり、リビングで乾いた洗濯物を畳んだり、アイロン掛けをする、という動線になっています。洗濯という一つの家事のために、家中を動き回らなくてはいけないのです。

設計担当・木村が提案した「ランドリールーム」とは、洗濯・乾燥・アイロン掛けの3つのステップを、一つの部屋で完結させる——というアイデアです。
洗濯機置き場・ガス乾燥機・ホスクリーン（室内物干し）・アイロン掛けや洗濯物を畳むためのカウンター・浸け置き洗いや手洗い用のスロップシンクを一室に集約。

「無駄に動き回る必要がなくなり、時短に繋がりました。いまではもうランドリールームのない生活は考えられません！ 共働きだと、仕事から帰宅後に洗濯機を回すこともよくあると思うのですが、疲れている夜でも『ああ、洗濯しなくちゃ、面倒だな』というプレッシャーを感じなくなりました」

洗い物と掃除の手間を省略したキッチン

「料理は好きだけど、洗い物は正直いって面倒」と奥様。
「鍋類も洗える食洗機が欲しい！」というのが、奥様たっての要望でした。

鍋類も食器もまとめて洗える、ミーレの大容量食洗機。このサイズをビルトインできるシステムキッチンは、既製品ではほとんどありません。
さらに「下ごしらえした食材を、ちょっと置いておけるスペースが欲しい」「食洗機では落とせない、フライパンの油汚れや鍋の焦げ付きを磨くためのシンクと、野菜などを洗うシンクを別々にしたい」といったリクエストもあり、完全オーダーメードで「限りなくゼロ動線のキッチン」を製作しました。

ワークトップは奥行き75cmを確保。これは一般的なサイズよりプラス10cmの広さです。
シンクは鍋類を磨く用と、野菜などを洗う用の二つ。二列型のレイアウトで、振り向いて半歩で手が届く、ごく短い動線です。

またまた10年間ファンのお掃除がいらないレンジフード（富士工業「エコフード」「オイルスマッシャー」）、五徳を外せばサッと拭き取れるガラストップのコンロと、日々のお手入れがラクになる工夫も。
油や水で汚れやすいキッチン周りは、時短を気にする方には「掃除のしやすさ」も重要な要素です。

「とくに忙しいときは、少しの手間が大きなストレスになりますよね。私にとっては洗い物や掃除の手間がまさにそうで、極力省きたかった。その結果、好きな料理に集中できるようになり、これまで以上に料理の時間が楽しくなりました」

将来、子どもが生まれたら。可変性のある間取り

長く暮らしていくうちには、家族構成やライフスタイルも変わっていく可能性があります。そんな場合にも対応できるように、「可変性のある間取り」を設計担当・木村は提案しました。
いまは夫婦二人での暮らしに合わせ、1LDKの間取りですが、将来、子どもが生まれたら、リビングの一部を子ども部屋にすることも考慮したプランとなっています。

もともと二部屋に分かれていたリビングと洋室を一体化し、約20畳の広さとなったリビングダイニング。
いまはテレビスペースとなっている一角にベッドを置いて、子どもの寝室にしても良し。
あるいは学校に通うようになったら、いまはワークスペースとなっている一角を勉強部屋にしても良し。こちらも、ベッドを置いても余裕のある広さです。

「本当に暮らしやすい家にするためには、いまだけでなく将来の生活の変化も想像する必要があるんですね。どうしても現在のライフスタイルにばかり目が行きがちですが、木村さんにはそういう自分たちではなかなか気づかない、プロの視点から提案してもらえました」