100年のその先へ。歴史と住む長屋リノベ
エリア | 東京23区エリア |
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家族構成 | ファミリー |
面積 | 51.88㎡ |
間取り | 2LDK → 3DK |
テイスト | 和風 |
特徴 | 二世帯住宅, |
リノベ費用概算 | 14,500,000円 |
もう一度、思い出の我が家に住みたい
関東大震災直後、今からおよそ100年前にH様邸は建てられました。
隣の家同士が壁一枚で続く長屋と呼ばれる造りで、古き良き日本の風情が残る歴史ある建物です。
今までマンションに住まわれていたH様ご家族ですが、旦那様のご実家であるこの家をなんとか活かしたいという思いのもと、リノベで理想の住まいへ蘇らせることになりました。
H様邸をリノベするにあたり課題になったのは、築年数と、長屋という点でした。
築年数の古い木造住宅は、建物の基礎面について不確定な部分が多く、壁を壊して初めて各部分の状況が確認できます。H様邸の場合は、既存の柱や梁、土台といった構造体が劣化しており、そのままでは使用に耐えない状態でした。また量的にも、現在の建築基準に照らすと不十分だったのです。
そのため建物全体の耐震性・耐久性を抜本的に改善するため、一般的な部分補強ではなく、組織体としての構造体の組み直しを行いました。
ただし、長屋の構造上、隣家と戸境壁を共有しているため、壁内の柱を撤去したり、新設したりすることはできません。そこで戸境壁の構造体には手を付けず、内側から補強を加えました。
また壁表面の仕上げを変更するにあたっても、壁厚が薄いため作業には慎重さを要しましたが、施工パートナー業者の繊細な技術により仕上がりは美しいものとなりました。
歴史を紡ぐ“機能的”な和空間
H様のご希望は、「部屋の端から端まで、風がまっすぐ通り抜ける空間」でした。
そこで1階の両端に窓を設置し、家中に新鮮な空気が循環するように設計。
窓を開けると風が流れるように行き交う、なんとも清々しい空間になりました。
視界も開け、空間が広がるような感覚を覚えます。
玄関を開けて中に入ると、リビングとキッチン、和室が一直線に現れます。
家から帰るとすぐに家族の顔が迎えてくれるので、「ただいま」と言うのが嬉しくなりそうです。また家事動線も短くなったことで、「夫が進んで洗いものや、家事をするようになったの」と奥様はにっこり。コンパクトな空間だからこその距離感が、心の距離も更に近づけてくれるようです。
階段を上って廊下をまっすぐ進むと水廻りスペースに続きます。
「水廻りまでどの部屋も介さないで行くことができる」空間もH様のご希望の一つ。2階はお子様一家のためのスペースとなっていますが、廊下のおかげでお互いの生活を邪魔することがありません。
そしてこの階段の下は、丸ごと収納スペースになっています。普段使わない季節の荷物や、かさばる掃除機などはここに収納。さらに各部屋にも押し入れがあり、コンパクトなお家ながらも生活空間を圧迫せずに収納を確保しています。
内装は、畳が主役の和空間。シンプルかつミニマルなデザインで、インテリアの凛とした佇まいを静かに引き立たせています。
「新しいモノはほとんど買っていないんですよ」とH様。家にある道具たちは、長年大切にお手入れしてきたものばかり。時と共に愛されてきた暮らしの道具は、生まれ変わったお家でご家族にやさしく寄り添います。
H様邸は、今まで大切にしてきた暮らしの歴史が力強く伝わり、一つのものを大切に守っていくことが豊かさに繋がると教えてくれるようです。