2017/6/15
物件選びのヒント~浴室編~
こんにちは。
設計担当の目黒です。
物件を購入してしまってから「希望通りの間取りに変更できなかった……」と後悔されないためにも、プランニング担当の立場から中古マンション選びのヒントをお伝えする、第二弾!
※前回のブログはコチラ
前回はキッチン編でしたが、今回は『浴室』についてです。
1.ひろびろとした浴槽でゆったりくつろぐ
プランニングの前にはお客様と直接お会いしてリノベーションの要望をお聞きしておりますが、その際に
「お風呂は今よりも広くできますか?」
という質問をよく受けています。
やっぱり新しい家になったら今までよりも広いお風呂でゆったりとくつろぎたいという方も多いのでしょうね!
マンションの浴室はユニットバスで施工されている場合が多いので
「1216」のように4桁の数字で表記されているのを見たことはありませんか?
この4桁の数字はユニットバスの壁の内法を表しているので、120cm×160cmの広さの浴室という意味になります。
この場合、浴槽の長さは短辺側の120cm。
大人の男性が足を伸ばすにはちょっと厳しい寸法かもしれません。
ユニットバスの内法(内部の寸法)は同じサイズであれば基本的に同じですが、壁の厚さや配管の出っ張りなどがあって設置するのに必要な寸法はユニットバスの種類毎に異なります。
例え同じメーカーの同じサイズであっても、種類(商品名)が異なれば必要寸法も異なります。
この最低限必要な設置寸法をもとに浴室が広げられるかどうかを検討してプランニングするのですが……
比較的築浅の物件ほど間取り図だけでは見えない落とし穴もあります。
2.広さだけでなく‘高さ’という制約
日本の住宅がバリアフリー化され始めたのは、今から20数年ぐらい前からでしょうか。
日本には靴を脱ぐ習慣があるので玄関の土間と廊下の区切りにはたいてい段差を設けていますが、廊下に上がるとそこから先はフローリング張りの洋室だけでなく、畳敷きの和室も、トイレも洗面室も、そして浴室に至るまで全て段差のないバリアフリー住宅というのも珍しくなくなりました。
ただし、マンションでこのようなバリアフリーになっている場合、浴室廻りの間取り変更が容易でないことがあるので注意が必要です。
例えば、以前にご紹介してお引渡し済みのM様邸。
リノベーション前は「1418」という、マンションでは比較的大きいサイズのユニットバスが設置されていました。
大きいサイズといっても浴槽の長さは140cmなので、男性でもゆったりと浴槽の中で足を伸ばせるよう浴槽側を広げた「1616」へのサイズ変更がM様のご希望です。
※ちなみに、一部メーカーには「1618」というサイズもあります。
こちらがリノベーション前の浴室廻りの間取り。
2箇所のPS(共用部)までは十分に空間があります。
平面図上は浴室を広げることに何の支障もないように見受けられますが……
こちらのマンションは築10年で、物件購入前に現地調査をしたところ玄関部分を除いて一切段差のないバリアフリー施工でした。
ユニットバスは設置するのにたいてい床下に20cm程度の高さを必要とするので、玄関部分に同じぐらいの段差がない限りバリアフリーにすることはできません。
こちらのマンションの玄関と廊下の段差は8cm。
それにもかかわらず、バリアフリーになっているということは……
解体してしまえばなぜそうなっているか理由は簡単にわかるのですが、物件購入前に解体して確認するなんて不可能ですよね……。
そこで、プランニングには事前にある程度の想定が必要となります。
いくつかの理由が考えられますが、築浅物件でこのように浴室の入口がバリアフリーの場合、ユニットバス部分のコンクリートスラブ(床構造)を廊下や居室よりも高さを下げて打設されていることが多いです。
スラブそのものに段差がある、という意味です。
1418→1616へ変更するということは、斜線で記載したように浴室が既存のWIC側へはみ出します。
スラブに段差がある場合は高い方のスラブにあわせてユニットバスを設置することしかできないので、ユニットバス内の床も既存の高さより上がってしまい洗面脱衣室との間に段差が生じます。
数cm程度の段差ですむ場合もあれば、最悪の場合は20cmにまで及んでしまうことも!
とはいえ、20cmの段差といっても室内階段のほぼ一段分の高さと変わらないので、浴室の広さを優先するためなら・・・とそれほど気にされない方もいらっしゃいますが、さらなる弊害が生じる場合もあります。
数階建てのマンションで縦方向が全て同じ間取りになっている場合、この階のスラブが下がっていると上階の同じ箇所のスラブも下がっていることが多いので、上下のスラブ間の高さによっては床が上がると天井までの高さを確保できず、ユニットバスそのものが入らない!なんてことにも……。
幸いM様邸の場合は事前の調査で浴室だけでなく隣りの洗面とWICの一部までスラブを下げている可能性が高いと推測できたのと、たとえ広げる箇所のスラブが下がっていなかったとしても数cmの段差で済むことがわかっていたので、その旨をM様にお伝えし1616へ変更するプランにするかどうかを決めていただきました。
売買契約条件になっている物件引渡し時期の都合上、工事着工前には部分的な解体も全くできない現場だったので、解体後にWIC側までスラブが下がっていることをこの目で確認できたときは正直ホッとしました。笑
(解体せずにどのようにして見極めたかは……ヒミツです。気になる方・浴室リフォームをお考えの方はお気軽にお問合せ下さい!)
こちらがリノベーション後の浴室廻りの間取りです。
(全体的な間取りはコチラ)
さまざまな条件に恵まれていた物件だったので、浴室サイズを広げたにもかかわらず、入口も以前同様にバリアフリーで施工できました!
3.現地調査はぜひ購入前に!
購入を決める前の段階で希望のリノベーション工事ができるかどうかの見極めも物件を選ぶ上での大事なポイントですよね。
ひかリノベでは物件紹介からリノベーションまでワンストップで対応させていただいております。
購入前に現地調査させていただきプランニングすることも可能なので、ぜひ一度お気軽にご相談なさってみてくださいね。