2015/10/1
キッチン選びのポイント!~形と大きさの考え方~
最近雑誌などで、造作キッチン、カスタムキッチン、オーダーキッチンといったオリジナルキッチンがよく取り上げられています。
パッと見は素敵ですが、なかには使いやすさの点で疑問を感じるものもなくはありません。
水や汚れが溜まりやすかったり、掃除がし難かったり、使う人の身体・動きとうまく合っていなかったり等々の実用面で難があると、オシャレであっても残念ながら用をなしません。
家事に勤しむ奥様や料理好きな方は、一日に2時間以上をキッチンで過ごすと言われています。
キッチンを作業場としてとらえれば、やはり機能性を最優先に計画することが大切です。
そこで、今日はキッチン選びのポイントについての話しをさせて頂きたいと思います。
調理の流れからキッチンを選ぶ
冷蔵庫から食材を出す→作業台に置く→シンクで洗う→調理台で調理する→配膳スペースに置く、という一連の調理の流れがスムーズに行えるよう、冷蔵庫・電子レンジなど設備との位置関係を配慮してキッチンの「形」、「大きさ」を選ぶことが大前提となります。
キッチンの「形」
キッチンはシンク、コンロ、作業台など単品の組合せで構成されています。キッチンのレイアウトは大体下記の6種類があります。
Ⅰ型
直線的に配置されたシンプルなレイアウト。狭い空間に適します。
L型
L字型に配置された作業動線の良いレイアウト。ただしコーナー部分の収納計画に工夫が必要です。
U型
「U」や「コの字」型に配置されたレイアウト。収納スペースや調理スペースが他のレイアウトより確保しやすいです。
アイランド型
シンクやコンロを島(アイランド)のように配置できるレイアウト。複数の人が一緒に作業するのにも便利です。
ペニンシュラ型
キッチンの一部が壁から半島のように伸びている対面式レイアウト。調理側と食事側がコミュニケーションを取りやすいタイプです。
キッチンの「大きさ」
キッチンの高さ
市販されているシステムキッチンの高さは「80cm」、「85cm」、「90cm」の3段階設定が多いです。それらは日本工業規格(JIS)規定されている高さですが、どうしても全ての人に適用するには無理があります。
実は適正な高さは「身長÷2+5cm」と言われています。現在は1cm刻みで変更できるキッチンメーカーもあるので、できるだけ自分にあった高さのものを選びたいところです。
高さが合わないと腰に負担がかかり、作業が疲れやすくなります。万が一、選べる高さが3段階しかない場合には、低すぎるよりは高すぎるものをおすすめします。高い場合はキッチンの足もとにキッチンマットを敷くか、スリッパ等で調整することができますから。
キッチンの長さ
キッチンの理想的な長さは2400〜2850mmです。あまり長すぎると(3600mm以上)、横方向の動作の距離が長くなって逆に疲れてしまいます。
スペースがある場合は、「ペニンシュラ型」、「アイランド型」がおすすめです。収納スペースも十分に確保できますし、対面式で、家族や友人とコミュニケーションを取りながら、料理や片づけを楽しめます。
ガスコンロの高さ
高さ18cmが基本サイズですが、メーカーによって多少の違いがあります。
ガスコンロの高さはかなり重要です。フライパンを持ち上げたり、盛り付けたりする際に、高すぎると腕が非常に疲れます。キッチンの高さを考えるときには、ガスコンロの高さも忘れずに考慮しましょう。
現在はIHコンロとガスコンロのどちらも選べるキッチンが多くなっていますが、コンロの高さが違いますので、選ぶときには注意が必要です。
シンクの高さ
調理作業の大半は「作る」ではなく、「洗う」であると言われます。洗う作業は、材料を切る作業よりも身体、とりわけ腰への負担が大きくなります。市販のシンク底は一般的に作業台より20cmほど低くなることも考慮しながら、特に腰痛がひどい方はシンクの高さを慎重にチェックしましょう。
また、シンク幅の標準タイプは900mm程度で、けっこう大きめになっています。シンクの水栓をホース引き出しタイプにするとシンク洗いが楽になります。
キッチン下収納
最後はキッチン下収納ですね。現在主流になっているのは扉式と引出式です。
扉式は高さの融通が利くので、日本酒などの大型ボトルの収納も可能ですが、奥行きが深いので後ろの物を取り出しにくいところがあります。引出式ならこの問題を解消できます。さらにカトラリーケースを買って中に入れて仕切りを作れば、引き出すときも中のものが勝手に動くのを防いでくれます。
最近のシステムキッチンは引出しの段数を選べるので、例えば、上段は浅い引出しにして、お箸、スプーン、フォークなど小物を収納し、下段は高さがある引出しを選んで、鍋やボトルなどかさ張る物を収納するという風に、入れる物に合わせて作ることも可能です。
また、ほとんどのキッチンメーカーが「引出しの底に滑り止めシート」と「押すだけでやさしく静かに閉まる機能」を標準装備していますが、オリジナルキッチンや造作キッチンを希望する場合には、こういった要素を必要に応じて別途注文するのを忘れないようにしましょう。
次回はキッチン周りの空間計画についてお話したいと思います。どうぞお楽しみに!