2015/10/13
あまりにも奇抜な芸術【中銀カプセルタワービル】
ひかリノベ広報部です。
新橋・汐留周辺で、変わった形のマンションを見かけたことはありませんか?ボコボコした形の・・・
過去、私が内装工事で関わったマンション(ビル)の中でも、間違いなく一番変わった建物で「中銀カプセルタワービル」という建物があります。
中銀カプセルタワービルとは
設計は、日本を代表する建築家・黒川紀章氏。
タイトルの写真のとおり、140戸もの四角い部屋がジェンガのように積み重ねられたような形で、13階建てと11階建ての2棟が並んでいます。
各部屋に丸い窓が一箇所だけついているのも特徴です。昭和47年竣工の世界初のカプセル型集合住宅で、黒川氏本人が提唱していた建築運動「メタボリズム」(新陳代謝という意味)に沿って、このカプセルは交換が出来るように設計されています。今でも世界中の建築ファンから注目されており、この建物を見るためだけに日本を訪れる人もいるとのこと。
現地調査に向かうと・・・
今から十数年前、中古マンションとして購入される方から、リノベーション工事のご相談がありました。空き部屋ということで私一人で現地調査に伺ったのですが、初めて見る光景に驚くことばかり。
・内部の共用廊下がらせん階段で、階段の途中に各部屋の入口ドアがある。
・共用廊下の床に穴が開いていると思ったら、なんと垂直避難ハシゴ!下を覗くだけでも怖い。
・お部屋はカプセル形式(ユニットバスみたいに天井・壁・床が箱になっている)キッチン・ユニットバス・トイレも含めて約10㎡なので狭い!
※現在はわかりませんが、当時は建物一階にカプセルの見本(本物)が置いてあり、実物を見学することが出来ました。
・天井に出口ハッチがあり、部屋の上に出れる(めちゃくちゃ危険!)
当時すでに既存不適格物件として、取り壊し予定であるとのことでしたが、保存を望む声も多いらしく、そのままで現在に至っているようです。
アスベスト(石綿)が使用されていたり、外壁が崩れている部分が多かったり、漏水が頻発していたり、維持していくには問題が山積しているようですが、間違いなく日本が世界に誇る代表的建築物だと思います。
今から40年以上も前に、このような建築業界の常識を打ち破った建物は建てられました。建築に携わる人間の端くれとして、常に新しい発想で仕事に挑み続けたいと思わせてくれる建物です。