2020/5/19
珪藻土と漆喰、どこが違う? どっちが良い?
こんにちは、ひかリノベ五反田 設計担当の田口です。
夏が近づいてきて、日によっては蒸し暑さを感じることもありますね。
湿度の高い季節を快適に過ごすために、リノベーションでも工夫ができます。
たとえば、壁や天井に珪藻土や漆喰といった、調湿効果のある部材を選ぶこともその一つ。
今回は、珪藻土と漆喰の特徴や両者の違い、似たイメージだけれどどっちを選べばいいの? といったことをお伝えしたいと思います。
珪藻土とは
珪藻土とは、珪藻の殻が化石になって積み重なってかたくなった土です。
珪藻とは、藻類の一種。これを粉末状にしたものに、凝固剤・つなぎ材を混ぜて固め、壁や天井の塗装剤として用いています。
珪藻土のメリット
①調湿性能
珪藻土の最大の特徴は、調湿できる点です。
調湿とは、部屋の湿度状況によって湿気を吸収したり放出したりする現象のこと。
人間にとって快適な湿度は、40~60%といわれています。
珪藻土は室内の湿度を自然とこれくらいに保ってくれるので、「呼吸する壁」ともいわれています。
よく比較される漆喰も、ここまでの調湿性能がない場合が多いです。
住宅では、塗り壁材として使われることの多い珪藻土。夏の暑く湿気が多い時は湿気を吸収し、冬の寒い乾燥している時は放出するので、結露対策の建材としても活躍します。
また、最近ではバスマットなどにも使われていますね。
②脱臭・消臭
珪藻土は臭いも吸収してくれます。
湿気を吸収すれば、臭いも消えるということです。
ペットと暮らしている方にもおすすめ。
実際、お客様からも臭いが気にならなくなった、という声をよくいただきます。
③耐火性
火に強いことも特長のひとつ。
七輪やレンガとしても使われています。
珪藻土のデメリット
①剥離しやすい
表面がボロボロと粉落ちしやすいのは、お部屋の内装材としては注意が必要な部分です。
ただ、最近では、ツルッとした珪藻土材も出てきています。
②汚れが染みやすい
吸収性があだになり、醤油やコーヒーをこぼしたりすると染みてしまうことも。
汚れには注意が必要です。
③ひび割れしやすい
凝固剤が少ないと、ひび割れが生じる可能性も。
あるいは下地の伸縮や地震などにより、クラック(ヒビ)が発生する場合もあります。
とはいえ重ねて塗れるので、この点はそこまで神経質にならなくてもよいかも。
④ビニールクロスに比べて高い
一般的なビニールクロスに比べると、価格はどうしても割高になります。
材料も高価で、多くの手間や作業工程がかかるためです。
この点はビニールクロスには無いメリット(調湿性能、脱臭効果、耐火性)の価値をどのように考えるか、だと思います。
漆喰とは
漆喰とは消石灰を主原料とした塗り壁材です。
石灰石(サンゴ礁)を焼いて水を加え、糊やスサを水で練ってつくります。
メリット
①抗菌、消臭効果
漆喰はもともとphが高くアルカリ性のため、カビや殺菌、ウィルスを分解する性能があります。
美容室などでは、薬剤の匂いが少なくなった……と人気があります。
②ホルムアルデヒドを分解する
漆喰は、化学物質過敏症を発生するリスクを低減できる壁材です。
漆喰を塗って固まる過程で、シックハウス症候群の原因でもあるホルムアルデヒドを吸着し、分解する性能があります。
③調湿・吸収性がある
珪藻土ほどではありませんが、部屋の室温・湿度が一定に保たれます。
普通のクロスに比べると、10倍以上吸い込むので、充分カラッと過ごすことができると思いますよ。
④耐久性に優れている
もともと漆喰はお城の壁に使われていた建材。
とても頑丈で、耐久性に優れています。1回塗れば100年保つ、と言われているほどです。
⑤火に強い
珪藻土と同様、漆喰も火に強く燃えにくい不燃材料としてます。
ビニールクロスのような化学物質でできた壁と比べ、有害なガスや物質が発生しづらいので、万が一のときも安心。
デメリット
①ヒビ割れしやすい
珪藻土と同様、下地の伸縮や地震などでクラック(ヒビ)が発生する可能性があります。
②塗った後、乾かすのに時間がかかる
中までしっかり乾かすには、1週間ほどかかります。
塗った後表面は1、2日で乾きますが、硬化はゆっくり進みます。
③ビニールクロスに比べ割高
こちらも珪藻土と同様です。
ビニールクロスに比べ材料も高く多くの手間や作業工程がかかるため、費用はどうしても嵩みます。
コスト削減を重視するか、天然素材のメリットをより重視するか、ではないでしょうか。
珪藻土と漆喰の違いとは? どっちが良い?
それぞれメリット・デメリットがありますから、一概にどちらが良いとは言い切れません。
特長に合わせ、それぞれに適した場所に塗るということが重要です。
たとえば湿気がこもりやすいマンションや、水回りは吸湿性能にすぐれた(約1.2倍の効果がある)珪藻土が適しています。
木造や風通しが良い建物には、漆喰がよいでしょう。
塗り壁は性能だけでなく、意匠にも優れているので、ちょっとした空間にも塗り壁を取り入れることで、より気持ちよく過ごせるかと思います。コストも考え、ポイント遣いで塗り壁を計画するのもおすすめです。
キッチン・リビング・洗面室・トイレといった湿気や臭いがこもりやすい場所は、塗り壁のメリットがとくに活きるでしょう。
アレルギーを持ったお子さんの子供部屋には、ホルムアルデヒドを吸着し、分解する漆喰がおすすめです。