ヴェールの光

空間全体が薄いヴェールをまとっているかのような、淡い光が漂うM様邸。その光の秘密は壁紙の色にあります。「一見ホワイトの壁紙に見えますが、じつは薄グレーの色味をしています。真っ白な壁紙は明るく清潔感がありますが、目が冴えて緊張してしまうことがあります。ほんの少しグレーを足すと、光が和らぐんですよ」と設計。光の加減によって白やグレー、ミントグリーンなどの色合いにも変化する、趣のある壁紙です。

床材は、イタヤカエデとフロアタイルを使用。M様はワンちゃんを飼う予定があるため、ワンちゃんのスペースはフロアタイルを敷き詰めて、お手入れしやすくしました。メインスペースのイタヤカエデは、一枚一枚異なる木の表情が印象的。時が経つと色が深まり、空間のアクセントになってくれます。ふたつの素材をリビングドア―キッチン―窓を繋ぐラインで張り分け、端正な印象に。

お家の中には、木のカウンターを備え付けたワークスペースも。アーチの入り口、グリーンのタイル壁と、小さな窓から差し込む自然光が、リモートワークの緊張をほどいてくれます。柔らかな光と細部の意匠が心ときめくお家です。