クールさの中の遊び心
エリア | 東京都23区エリア |
---|---|
家族構成 | 一人暮らし |
面積 | 54.85 ㎡ |
間取り | 1LDK → その他 |
テイスト | シンプル,モダン |
特徴 | 書斎 |
ブルックリンの景色を思い出して
「ひかリノベさんのHPに、同じ年代の単身男性のお部屋が掲載されているのを見たんです。デザインも自分好みだったので電話したら、プランの話、お金の話……いきなりの相談でもしっかり説明していただけたので、そこで一気にリノベを現実的にイメージすることができました」というA様。
A様がご覧になった事例は「アパルトマンのように(N様邸)」。こちらの事例の設計担当である田口が、A様邸も担当させていただくことになりました。
「やりたいと思っていることは全部田口さんに伝わっているという確信がありました(A様)」「Aさんと好きな色やテイストを話していくうちに、好みが似ていると気づきました(田口)」と、相性抜群だった2人。プランの打ち合わせはとにかく楽しかった、と口を揃えます。
「田口さんとはお互いに『こうしなきゃだめ』というのがなかったので、気楽に話し合いができました」とA様。
「打ち合わせの8割はただの楽しいおしゃべりでしたね(笑)でも田口さんは、残り2割の真剣な話の中でしっかり設計してくれました」
一方で、「A様は打ち合わせ前に要点をメールでまとめてくださったので」と田口。
「その分、お会いしたときには派生的な話をする余裕が生まれました。何気ない雑談から、デザインのヒントが生まれることはよくあります。じつはそういう『おしゃべり』の時間も、ご面談では大切なんじゃないかな、と思うんです」
そんな2人が決めたテーマは、「モード感のあるインダストリアル」。
スタジオアパートメント風のワンルーム空間に、モルタルの風合いを再現したグレーのクロスと、「一目惚れした」というパーケットフロアをしつらえました。A様がブルックリンに留学していたということをヒントに考案されたデザインです。
無駄は0。変形間取りを逆手に取った設計
A様邸はお部屋全体が台形に似たユニークな形状。デッドスペースになりがちな部分をどのように生かすかが課題でした。
田口はこの形状を生かし、空間を斜めにゾーニングすることで、動線を最大限短く、居住空間を最大限大きくとる設計としました。
中でも特徴的なのは、ちょこんと飛び出したような、出窓空間を利用した書斎です。
「ワークスペースは小ぢんまりした空間のほうが集中できますね」とA様。LDKとの間に建具は設けず、小さな間口でかまくらのような空間設計となっています。
窓下にはカウンターを造作し、デスクセットを置くスペースを省略。小ぢんまりした空間ながら、ゆったりと座れる広さは確保しました。
「出窓があることで、小さいながら閉塞感はなく、ほどよい『おこもり感』が感じられる空間になっています。ユニークな形状の、このお部屋ならではの間取り」と田口。
背面の扉を開くと、玄関に隣接のWIC兼SICに繋がっています。このWICも、書斎からの入口を斜めにとることで、収納スペースを最大化することに成功しています。
「玄関にクローゼットを集約したのは二つ狙いがあり、一つは収納動線をシンプルにすること。もう一つは、洋服のホコリがリビングに持ち込まれるのを防ぐこと」と田口はいいます。
「感染症予防の意識が高まったことで、居室空間に外の汚れを持ち込まない間取りを希望されるお客様が増えてきています。玄関と一体化したクローゼットは、選択肢のひとつとしておすすめのプランです」
水回りも変形で広さを叶える
水廻りも変形間取りで空間を最大化。
上下二本のパイプハンガー、大容量の洗濯機、収納たっぷりの洗面台にトイレ。そしてお風呂が大好きというA様のために、マンションとしては大型の1416サイズの浴室を設置しました。
五角形の変形間取りとすることで、これらの設備とゆったりとした通路のある水回りを実現しています。
内装はLDKと印象を変えて、グリーンの塗装調クロスとストライプ調のアクセントクロスで上品に。アルダー材の棚板のやわらかな風合いも相まって、ハードな雰囲気のLDKに比べ、やや優し気な印象です。
小さなフォーカルポイントを散りばめて
ユーモラスなマグネットなど「クスッと笑えるような、遊び心のある小物が好きで、見かけるとつい手に取ってしまう」というA様。壁面や縦の空間を有効活用し、集めた小物を飾るちょっとしたスペースを設けました。
そのひとつが、キッチン側面の黒板塗装。磁石がくっつくので、集めたマグネットを飾ることができます。
「いままでは貼る場所もなくて箱の中に仕舞い込んでいたんですが、旅先で買ったものはそのときの思い出が浮かんだりしますし、ときどきは日の目を見せてあげないともったいないなとも感じていて。友人を招いたとき、ちょっとシュールなマグネットを貼っておくと、ここを見て笑ってくれたりするのも楽しいですね。」
またもうひとつ、リビングの壁にも工夫が。
スクリーンとして利用することを想定し、凹凸と光の吸収を抑えたプロジェクター用クロスで施工した、リビング右手の壁。天井まで伸ばすのではなく、上部に棚のようなスペースを残しています。こちらはマグネット以外の小物や、オーディオ機器のディスプレイスペース。
「棚を置くとせっかくの広いワンルームが狭くなってしまうのが嫌で。壁の上はちょっとした隙間空間みたいですが、一面分なので思った以上の収納力になりますね。飾る場所が増えた分、さらにモノが増えそうだから気を付けないと(笑)」
中古物件ならではの信頼感
A様はもともと30歳でマイホームを購入するのが夢だったそう。「ずっと良い物件があれば……と探していたんですが、ちょうどこの1年で物件市場も大きく変動したでしょう。買うならいまだ、と」
A様が購入したのは、築40年の中古マンション。決め手は建物への安心感でした。
「日本の中古物件はそれほど弱くないと思っています。幾多の災害を乗り越えてきた中古物件は、まだ大きな災害を経験していない新築物件よりもむしろ、建物に対する信頼は高かったですね。その中でもこの部屋は、築年数を感じさせない管理状態の良さが魅力的でした」
すでにリフォーム済みの状態で販売されていた物件でしたが、「たまたまこの物件がリフォーム済みだったというだけで、『せっかく購入するなら自分に合った空間を』と最初から考えていた」というA様。設備機器など、希望と乖離のない部分は既存を利用しつつ、内装や間取りはまったく新しいデザインへと再リノベーションしました。
「ひかリノベさんにお願いしてよかったと思うのは、行政回りやローン面までしっかりフォローしてもらえたこと。リノベーションのみの会社では、そうした面のサポートはきっと管轄外ですよね。ひかリノベさんは不動産からリノベまで全面的にサポートしていただけたので、はじめてのマイホームで解らないことだらけだった僕も、安心してすべてをおまかせできました」