緻密に紡ぐ繭のような家
エリア | 神奈川エリア |
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家族構成 | ファミリー |
面積 | 66.39㎡ |
間取り | 2LDK → 2LDK |
テイスト | ナチュラル,シンプル |
特徴 | ニッチ |
リノベ費用概算 | 7,800,000円 |
数字から感じ取った誠実さ
施主であるO様のご職業は、建築士。お仕事をされる中で、漠然と自分の理想の家を思い描いたO様は、それを形にするパートナーを探していらっしゃいました。「以前より家を購入するなら、資産価値が安定している中古マンションがベストだと考えていました。リノベ会社は3社ほど話を聞きにいきましたが、その中で見積もりの細かさ・精度が一番高かったのが、ひかリノベさんでした」
O様がコーディネーターと共に訪れたのは、どこか素朴な雰囲気が残る街。そこで内見した眺望の良い物件に惹かれました。間取りや内装は変えられますが、眺望はリノベで変えられません。築年数や駅距離などの諸条件も申し分なかったことから、購入を決断されました。
細部に宿る均整美
O様邸のコンセプトは「体感上昇」。お部屋の見晴らしの良さを肌でも感じられるデザインがご希望でした。実際に廊下を抜けリビングに入ると、空間が広がり、光に包み込まれるような感覚に。リビングの天井高を際立たせるために、玄関ホールからキッチンまでの天井を一段低く設計。また天井の素材を変化させることで、リビングの明るさを印象付けました。さらにキッチン側の壁はほんのりグレーがかった塗装調クロスをチョイス。奥行きが広がるような視覚効果が得られ、影が落ちると繊細な光を纏います。
ホールからリビングに至る廊下の内装は壁・床・天井とも木を基調とし、その目地がきれいな一直線を描いています。「揃えられるところは揃えようと。他の人が気にならないところまで意識を働かせました」とO様。こうした細部のこだわりから、O様邸の均整美は生まれています。
キッチンは職人技が光る部分。ごく薄い笠木が空間に透明感を与えています。リビングから見える外側と、作業スペースに向かう内側とで厚さを変えることで、デザイン性と強度を両立しました。
また部屋全体の統一感を高めるため、一つ一つの空間に他の空間との関連性を持たせたのもポイント。洗面台はヘリンボーン柄のタイルをしつらえ、間接的に木のぬくもりを感じられるように。ミラー収納と洗面台の前垂れに使われているのは、廊下の天井と同じシナの木です。床材はトイレと合わせました。木・白・グレーの構成を空間ごとに散りばめることで、まとまりがありながらも画一的にならず、遊び心を感じさせる空間となっています。
これまで多種多様なデザインに触れてこられたO様。今回のリノベを通して、初めて自分の好きなデザインが明確になったといいます。「今までお客様のためのデザインを考えてきたためか、自分の好きなデザインがわからなくなる瞬間がありました。最終的に『シンプルで整ったもの』に辿り着きましたが、設計の宇津木さんの感性と決断力は、その迷いから抜け出すヒントになってくれました」
誰もが暮らしやすい、ノーマライゼーションの工夫
収納面では、「空間を余すところなく利用する」ことを意識しました。キッチン脇の収納棚は、収納ボックスがピッタリ収まるように計算。書斎のクローゼットはドアを外して空間の広さを確保。パイプの長さと取り出しやすさのバランスを試行錯誤した空間です。
リビング脇にある収納は上下に区割りし、下はお子様の小さなおもちゃ部屋に。「子供の隠れ家のような空間を作ってあげたいなと思っていました。娘もこのスペースに愛着を持っているようで、ここは自分の空間だぞと誇らしげにしていますね」。カーテンを掛ければ収納スペースにもなるので、お子様が成長されても問題なく利用できます。
インターホンや照明スイッチはニッチにまとめ、凹凸を解消。さらにニッチの高さは通常より低めに設定。「誰にとっても使いやすい」ノーマライゼーションを意識した高さです。
「もしかしたら20年後、売ったり貸したりするかもしれないので、自分たち以外の方にも気に入ってもらえるようなデザインにまとめました。工事期間中は何度か現場に足を運んで、ディテールの相談や注文をしましたが、全て柔軟に対応してくれました。そこで、対応できませんとかコストが上がりますとか言われたらしんどかったかもしれないですね……。リノベ会社本来の力は、設計図ではなく現場に現れると実感しました。ひかリノベさんは最初から最後まで丁寧に対応してくれたので、楽しくリノベを終えることができました」
リノベを通して美のアンテナが高くなったとO様。「賃貸は家に対しての愛着が少ないから、良い部屋にしたいという意識がありませんでした。今は常にその意識がある感じ。かわいいタイルを貼ったり、植物を置いたりとアレンジを楽しみたいです」
O様の理想の空間づくりはこれから先も続いていきます。