古きを活かすモルタル
エリア | 千葉エリア |
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家族構成 | 一人暮らし |
面積 | 63.27㎡ |
間取り | 3LDK → 1LDK |
テイスト | ナチュラル,ヴィンテージ |
特徴 | インナーバルコニー |
リノベ費用概算 | 10,200,000円 |
細かく分かれた間取りをシンプルな1LDKに
T様は都内で一人暮らしをしている30代の女性。
お住まいの賃貸の更新が迫り、更新料を払ってこのまま住み続けるか、それとも新しい部屋を探すか、決断を迫られる中で、「自分の家を持てば、数年おきに悩む必要もなくなる」と、購入を考えるようになりました。
T様が購入したマンションは、駅から徒歩10分ほど、都心へのアクセスもよく、生活利便性のよい周辺環境と、立地条件は理想どおり。管理状態もしっかりしており、状態は良好。
とはいえ築39年のマンションのため、つくりの古さはやはり否めない部分もありました。
既存の間取りは、和室を含む3LDK。この年代のマンションによくある間取りですが、部屋が細かく分かれているため一室の広さが充分でないこと、各室に分散した収納の使い勝手の悪さが課題となりました。
スケルトンリノベーションで間取りを全面的に見直し、広いLDKと寝室で構成された1LDKに。LDKから寝室、浴室やトイレ・洗面といった水回りに繋がる廊下へと、回遊できる間取りへと、大きく変更しました。
寝室の一角に置型のクローゼットを配置し、洋服はすべてここに収納。
かさばる靴やコートは、玄関土間を拡張し、靴棚とコート掛けを造作しました。
こまごましたモノが増えやすいキッチンは、ワークトップ下と背面に配したオープン収納のほか、扉の付いた収納庫を設け、生活の中心となるLDKからは荷物が見えないよう配慮しました。
凸凹床を置き床でフラットに
「掃除がしやすいように、床の段差もなるべく無くしたいです。猫とウサギを飼っているので、こまめに掃除機をかけないと、毛が気になって……」とY様。
既存の床は、スラブに直接フローリングを張っている直床工法。しかも配管のせいか、凹凸が多数ありました。
ひかリノベでは、この問題を置き床工法で解決。空間全体をフラットに仕上げました。
床レベルが上がる分、天井までの高さは低くなるので窮屈に感じられることもありますが、T様邸では天井を躯体あらわしにすることで、充分な天井高を確保しています。
一方、バルコニーに繋がる掃出し窓の前には、幅1mほどのインナーバルコニーを設けました。こちらはT様の趣味のスペース。
T様はエアプランツ(空中の水分で育つ植物)を育てるのが趣味とのこと。土をつかうため、LDKに汚れを持ち込まないよう、あえて床高を一段低くしています。
またこの部分は床材もLDKと張り分け、水濡れに強く、汚れても拭き取りやすいフロアタイルを使用しています。
モルタル仕上げであらわし「風」天井に
デザイン面でのT様の希望は、女性からの人気が高い「インダストリアルテイスト」。
装飾を削ぎ落とし、コンクリートやスチールをむき出しにした、工場街を連想させるデザインが特長です。
当初の計画では、インダストリアルテイストの定番デザイン、「あらわし天井」を取り入れる予定でした。
あらわし天井とは、クロスや仕上げ材を張らず、躯体のコンクリートをそのまま室内に見せる仕上げ方。
しかし、ひとつ問題がありました。T様が購入されたマンションの築年数です。
ひとくちにマンションと言っても、年代によって造り方は変わっています。
築年数が経過しているマンションは、お手頃な価格で購入できる一方、最近の建物とは造りが異なる部分も多く、リノベーションに際しさまざまな制約が生じることがあります。
T様が購入されたマンションは、昭和55年(1980年)築。やはり、天井や床などに、築古ゆえの特徴が見られました。
既存の天井は、吹付け塗装仕上げ。一方、隣室の和室はクロスで仕上げた二重天井と、間仕切りを挟んで仕上げ方が異なっていました。
T様邸では、この二室を一体化して広いLDKとするプランでしたから、そのままあらわし天井にすると、状態が均一でなく、美しい仕上がりになりません。既存のリビング部分は吹き付け塗装をはがすため、キズが目立つ可能性がありました。
そこでひかリノベでは、モルタル塗装をご提案しました。
モルタルはコンクリートと同じくセメントが材料。コンクリートのあらわし仕上げに近い素材感が表現でき、躯体のキズもカバーできます。
通常のモルタルは明るいグレーですが、T様邸では少量の墨を混ぜ、ややダークな色味に。
天井だけでなく、キッチンの腰壁も同様にモルタルで仕上げました。
建具もトーンを合わせて黒で統一。床材もウォルナットの無垢フローリングとダークカラーで揃え、白い壁とのコントラストを強調しています。