住宅ローンの繰り上げ返済はするべき?しない方がいい?

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住宅ローンの返済期間は、最長で35年と、とても長い時間がかかります。早く返済してしまいたい、と思う人も多いでしょう。

予定よりも早くローンを完済する手段に、月々の返済額とは別に、元金の一部を返済することで残額を減らす「繰り上げ返済」があります。
返済期間が短くなったりするだけではなく、金利の負担も小さくなります。

ただし、繰り上げを行うタイミングや、返済方法の選び方によっては、いいことだけではなくデメリットもあります。繰り上げ返済をすべきか、計画通り返済するのか――見極めるポイントをご紹介しましょう。

2016年5月27日初出→2020年3月20日更新

繰り上げ返済とは? メリットは何?

通常、住宅ローンの返済は借り入れ時に返済計画を立てて、一定の額を毎月返済していきますが、この月々の返済とは別に、任意の金額を返済するのが繰り上げ返済です。

毎月の返済は、ローンの元金と利息を合わせて返済するものですが、繰り上げ返済をすると、そのお金は住宅ローンの元金の返済に充てられます。
元金が減ると、金利負担も小さくなるため、結果として総返済額が減ります。金利が高いほど、効果は大きくなります。

すると、返済期間を短くできる、月々の返済額を減らすことができる、といったメリットが生まれるのです。

繰り上げ返済の2つのタイプ

繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」「返済額軽減型」の2つの方法があります。

返済期間短縮型は、繰り上げ返済後も月々の返済額を変えずに、返済期間を短く(完済を前倒し)すること。
逆に、返済期間はそのまま、月々の返済額を減らすやり方を返済額軽減型と呼びます。

返済期間短縮型は、金利負担の軽減効果が大きいのが特徴。もともとの返済期間が長いほど、軽減される利息が大きく、総返済額を大きく減らすことができます。

出典:(一社)全国銀行協会「繰上返済は有利?手数料は?住宅ローンの繰上返済」

出典:(一社)全国銀行協会「繰上返済は有利?手数料は?住宅ローンの繰上返済」 (https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-d/5218/

一方、返済額軽減型は、期間短縮型より金利負担の軽減効果は小さいものの、月々の支出を抑えられるので、すぐに経済的な恩恵を受けられます。
また、変動金利タイプや固定期間選択型タイプで、金利上昇による返済額上昇を抑えられるのも、返済額軽減型のメリットです。

出典:(一社)全国銀行協会「繰上返済は有利?手数料は?住宅ローンの繰上返済」

出典:(一社)全国銀行協会「繰上返済は有利?手数料は?住宅ローンの繰上返済」 (https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-d/5218/

借入額3000万円、金利1.5%で35年間の固定金利ローンを組むとして、繰り上げ返済でどれくらい返済額や期間が変わるか、シミュレーションしてみましょう。

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総返済額でみると、返済期間短縮型は40万円以上、返済額軽減型でも20万円近い差が生まれますね。
また、期間短縮型は1年3カ月、返済が早くなりますし、返済額軽減型は月の返済額が5000円ほど安くなります。

繰り上げ返済はした方がいい? ダメな場合もある?

メリット(返済期間の短縮、毎月の返済額の軽減)を踏まえて、繰り上げ返済をおすすめできるのはどんな人かを考えてみましょう。

まず思い浮かぶのが、返済が定年後も続く人
定年後、収入が不安定になると、月々の返済が生活を圧迫するかもしれません。期間短縮型の繰り上げ返済で、定年前に完済してしまえば、老後の経済的な不安はかなり小さくなるでしょう。

また、これから子どもの進学を控えている方や、転職を考えていて収入が変化する可能性がある方などは、返済額軽減型を検討するのもいいでしょう。毎月の支出を抑え、収入や支出に合わせて返済を続けていくことができます。

一方、繰り上げ返済には、手元のお金が減る、金融機関によっては手数料が必要、といったデメリットもあります。

医療費や教育費など、まとまったお金が急に必要になった場合や、収入が低下した場合など、繰り上げ返済による支出が家計を圧迫するリスクが生まれます。
子どもの教育資金のためにローンを組むこともあるでしょうが、金利は住宅ローンよりも高いので、かえって負担が増えることにもなりかねません。
繰り上げ返済を行っても、予期せぬライフイベントに対応できる余裕があるかを見極めましょう。

また、変動金利タイプのローンでは、繰り上げ返済を行うと、その時点で金利が再計算されることになります。
金利が上昇したタイミングで繰り上げ返済をすると、上昇の度合いによっては総返済額が増えてしまう恐れもあります。金利の変動が大きい時期の繰り上げ返済はおすすめできません。

繰り上げ返済のタイミングは? 住宅ローン控除との兼ね合い

繰り上げ返済は、早い時期に行うほど効果が大きいと言われます。

返済期間が長くなれば、その分金利の負担も大きくなるため、早い時期に繰り上げ返済を行って元金を減らすことで、金利の負担をより抑えることができます。

ここでひとつ注意してほしいのが、当初10年間(2019年10月~20年3月に契約した人はプラス3年)、年末の住宅ローン残高の1%を所得税から控除する「住宅ローン控除制度」、いわゆる住宅ローン減税を利用する場合です。

繰り上げ返済を行うと、当然ながら残高は減るので、控除額は減ってしまいます
金利負担の軽減分と控除額、実際のところはどっちが多くなるのでしょうか?

先ほどのシミュレーション同様、借入金額3000万円・金利1.5%の35年固定金利ローンで、300万円の繰り上げ返済を、控除期間中にした場合・期間終了後にした場合で比べてみましょう。

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金利の軽減効果は、5年目に繰り上げ返済を行う場合は73万円で、11年目に行う場合は58万円ですから、5年目で繰り上げ返済をした方が、15万円お得になります。
一方で控除額は、5年目に繰り上げ返済を行うよりも、11年目に行う方が、14万円大きくなります。

つまり、5年目と11年目、どちらが総合的にお得になるかというと、5年目の方が1万円お得だ、という計算です。ごくわずかですが、「控除期間中であっても、気にせず早く繰り上げ返済した方がお得」という結果になりました。

金利の高低で効果が変わる

ただし、どんな場合でも繰り上げ返済を早くおこなうほど効果がある、というわけではありません。実は、金利によって、控除期間中よりも期間終了後のほうが効果が高い、というケースもあり得るのです。

金利を低めの1.0%にして、再度計算してみましょう。

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金利の軽減効果は、5年目に繰り上げ返済を行う場合は48万円で、11年目に行う場合は38万円ですから、5年目で繰り上げ返済をした方が、10万円お得になります。
一方で控除額は、5年目に繰り上げ返済を行うよりも、11年目に行う方が、13万円大きくなります。

つまり、5年目と11年目、どちらが総合的にお得になるかというと、11年目の方が3万円お得だ、という計算です。こちらは「控除期間後まで待った方が、3万円お得」という結果になりました。

金利が低いと、繰り上げ返済による金利軽減効果がそもそも小さくなるので、住宅ローン減税を利用して所得税の控除を受けるほうが、トータルの支出を抑えられることもあるのです
逆に、適用金利が高いと、金利負担軽減の効果が大きくなるので、控除額が多少減っても、繰り上げ返済の効果は大きくなるのです。借入額が多い場合も同様です。

中古か新築かによっても効果は変わる

さらに、物件が中古か新築かによっても、繰り上げ返済のベストタイミングは変わってきます。
というのも、住宅ローン控除の控除額が、中古か新築かで変わるためです。

厳密にいうと、住宅ローン控除は「物件が課税物件か、非課税物件か」で控除額の上限が違います。
10%の消費税がかかる物件は、10年間の控除額は400万円まで。消費税がかからない物件は200万円まで、と決められています。
そして中古物件の多くは、消費税が課されない、個人の売主と個人の買主との間で売買される物件(個人間売買)です。

上記の例で、金利1.0%の場合、1.5%の場合で比較してみましょう。

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金利1.0%の場合、金利の軽減効果は、5年目で繰り上げ返済をした方が、15万円お得になります。
金利1.5%の場合、5年目で繰り上げ返済をした方が、10万円お得になります。

一方で控除額は、5年目に繰り上げ返済をした場合も、11年目にした場合でも変わりません。
したがって控除額が小さい中古の場合、「金利の多少に関わらず、控除期間を気にせずに早く繰り上げした方がお得」という結果になります。

まとめ

このように、繰り上げ返済のタイミングは金利の水準や、中古か新築かといった個別の条件によって変わってきます。
住宅ローンは大きな額のお金を借りるものですから、早く完済してしまいたいと思う気持ちもわかります。
しかし、無計画な繰り上げ返済は、かえって損をしてしまったり、家計を圧迫することにもなりかねません。あなたのライフプランや、金利の状況を踏まえて、余裕のある計画を立てて実行しましょう。


【記事監修】尾高 等(ひかリノベ両国コーディネーター)

住宅ローンアドバイザー。住宅購入が目的ではなく、その後も続く人生のファイナンシャルプランを、長期的な視点から提案する。「かつては頭金が2割ないと住宅購入は難しく、多額の現金投資をしなければ理想の住まいはつくれませんでした。しかし歴史的な低金利や、100%融資も可能となった現在、マイホーム購入のあり方は多様化しています。新築、中古、マンション、戸建、いろいろな住居の選択肢がある中から本当に満足できる空間とは何なのか。一緒に探していきましょう。」


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