団体信用生命保険に入れない病気とは?それでもローンを組む方法

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団体信用生命保険(以下、団信)への加入は、住宅ローンを組むにあたって必須としている銀行がほとんどです。

団信に加入するには、治療中の病気や過去の病歴を保険会社に知らせなくてはいけません。
健康状態が良くないと判断されてしまうと、団信に加入できず、住宅ローンが組めない可能性も出てきます。

今回の記事では、

  • 団信に加入する際、告知が必要な病気
  • 告知書の書き方
  • 健康状態にあった保険の選び方
  • 一般団信に入れない場合の対処法

について解説します。

2018/2/20初出→2023/2/15更新

告知義務がある病気

生命保険に加入するには、健康状態を保険会社に『告知』しなくてはなりません。
団信においても通常の生命保険と同様、持病があったり健康リスクが高かったりする人は保険会社から加入を断られることがあります。
つまり健康状態が悪いと、ローンを組む際の必要条件である団信に加入できず、借入ができない可能性もあるのです。

まずは、団信加入時に必要な告知事項の内容をチェックしてみましょう。

つぎのA・B・Cのうちいずれかひとつでも該当する項目があれば、病名や症状、治療の経過、入院していた場合には入院期間、手術をした場合にはその時期、服用している薬があれば薬名と服用期間を、『告知書』に詳しく書かなくてはなりません。

夫婦でペアローンを組む場合、団信にはそれぞれ加入しますから、当然告知もそれぞれ行う必要があります。

A)過去3年以内に以下の病名で手術、または2週間以上の医師の治療・投薬を受けたことがある

体の部位 具体的な病名
心臓 狭心症、心筋梗塞、心筋症、不整脈、心臓弁膜症、先天性心臓病
脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)、脳動脈硬化症
呼吸器 慢性気管支炎、ぜんそく、気管支拡張症、肺結核、肺気腫
胃腸 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、すい臓炎、クローン病
肝臓 肝炎、肝硬変、肝機能障害
腎臓 腎炎、ネフローゼ、腎不全
緑内障、網膜・角膜の病気
がん がん、肉腫、白血病、腫瘍、ポリープ
代謝異常・免疫疾患 高血圧症、糖尿病、貧血症、膠原病、リウマチ、紫斑病
精神疾患・認知障害 精神病、神経症、統合失調症、てんかん、うつ病、自律神経失調症、アルコール依存症、薬物依存症、知的障害、認知症
婦人科系 子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺、卵巣のう腫

B)最近3ヶ月以内に、医師の治療・投薬を受けたことがある

C)手・足の欠損、または機能に障がいがある。もしくは背骨(脊柱)、視力、聴力、言語、そしゃく機能に障がいがある

告知書の書き方

告知書を記入する際は、抜けや漏れがないようにすることが大切です。
具体的には、次のようなポイントに注意してください。

告知書の書き方のポイント

  • 告知義務のある病気は「過去3年分」を記入
  • 告知義務のない病気も「過去3ヶ月以内」を記入
  • 障がい者手帳がある場合は等級を記入
  • 診断書が必要な場合も
  • ウソの告知は絶対NG

告知義務のある病気は「過去3年分」を記入

加入時に告知が必要な3項目のうち、Aは「過去3年以内に手術した」「2週間以上の治療を受けた」経験は、すべて告知が必要です。
経過観察や定期的に検査しているだけであっても「2週間以上の治療」に該当します。
完治(あらゆる治療が終わり、再発の恐れがない状態)から4年以上が経過して初めて、記入する必要がなくなります。

告知義務のない病気も「過去3ヶ月以内」を記入

Aの一覧にない病気でも、直近3カ月以内に医師の治療や投薬を受けた場合はBに該当し、告知が必要です。
風邪をひいて病院に行った、アレルギー等で薬をもらっている、といった軽い病気・日常的な通院だからといって記入しないのはNGです。

障がい者手帳がある場合は等級を記入

Cに当てはまる方は、医師の治療の有無にかかわらず告知が必要です。
症状のほか、日常生活に支障があるか、今後症状が変わる見込みがあるかなどを記入します。
障害者手帳をお持ちの場合は、等級もあわせて記入します。

診断書が必要な場合も

保険会社から病状や治療状況を確認するため、医師の診断書を求められることがあります。
その場合は、治療を受けた医師に住宅ローン審査に利用する旨を伝え、診断書を書いてもらいましょう。

また、がん保障、三大疾病保障などの特約を付ける場合、健康診断書の提出を求められることがあります。

ウソの告知は絶対NG

もし告知事項に関わる病気を隠して、団信に加入したらどうなるのでしょうか?
結論からお伝えすると、虚偽の告知によって保険金が下りないリスクが発生します。

ローン契約者が亡くなり、保険金を請求するときには、医師による死亡診断書が必要です。
死亡診断書には、死因や治療の履歴が記入されています。告知内容と異なっていれば、虚偽があったことはすぐわかってしまいます。

また保険会社も、健康保険の利用歴や通院歴などを詳しく調査します。
加入から短期間で(2年以内)死亡したケースでは保険金も高額になることから、保険会社の調査もより詳細になります。

隠していた病気が発覚すれば告知義務違反とみなされたうえ、保険契約は解除になり、保険金はおりません。遺されたご家族がローンの残債を背負うことになります。
保険金支払い後に虚偽告知が発覚すれば、商法上は契約から5年間は解除が可能であるため、返還を求められるかもしれません。

「不動産会社から、黙っていれば大丈夫と言われた」という人も見かけますが、その対価は非常に大きなリスクです。虚偽の告知は絶対に避けましょう。

持病がある人がローンを組む方法

健康上の理由で団信に加入できなくても、マイホームを諦めるのは早計です。
ここでは、持病があってもローンを組める方法をご紹介します。

持病がある人がローンを組む方法

  • 保険会社を変えてみる
  • 契約者を配偶者にする
  • ワイド団信を利用する
  • 団信なしで入れるローンもある

保険会社を変えてみる

保険会社によって審査基準には違いがあるため、同じ条件であってもA社ではNG、B社ではOKというケースも。

融資を受ける銀行と提携している保険会社を確認し、もし複数の会社がある場合には、いくつかの保険会社で審査を受けてみることをおすすめします。

契約者を配偶者にする

自分の健康状態に不安があっても、配偶者に安定した収入があり、尚且つ健康状態が良好であれば、住宅ローンの契約者を配偶者に変更して申し込むのも一つの方法です。

保険会社が契約に際し気にする情報は、「安定した収入が見込める人物か?」「健康状態に問題はないか?」の2点。
借りたい金額にたいし収入が不足している場合は、夫婦で住宅ローンを組むという選択肢もあります(収入合算)。

ワイド団信を利用する

通常の団信だと加入が難しい持病のある人を対象に、加入条件を緩和したのが「ワイド団信(加入条件緩和割増保険料適用特約付団体信用生命保険)」です。

高血圧症、糖尿病、肝機能障害、心臓・脳疾患、うつ病などを患っていても加入できますが、告知は必要です。病状によっては、加入できない可能性もあります。

年齢制限は通常より狭く、上限は多くの保険会社で50歳となっています(※通常の団信は70歳前後)。

保険料も通常より高くなります。具体的な金額は銀行によって異なりますが、金利に0.3%前後が上乗せされるケースが多いです。この場合、通常の金利が1.3%だとすると、ワイド団信に加入した場合は1.6%程度になります。

団信なしで入れるローンもある

住宅ローンの種類によっては、団信に加入しなくても利用できるものもあります。その代表格が、住宅金融支援機構の固定金利ローン『フラット35』です。

団信に加入しないで利用する場合は、団信付きより金利が0.2%低くなります。
またフラット35専用の団信(機構団信)があり、2017年10月からは三大疾病付きに介護保障がつくなど、より充実した保証内容になっています。

また民間の金融機関でも、団信加入を任意としているローン商品があります。健康状態に不安のある方は、こういったローンの利用を検討してみるのも良いでしょう。

団信に加入しないとどうなる?

そもそも団体信用生命保険(団信)とは、一種の生命保険。
住宅ローンの契約者が、返済期間中に死亡または高度障害状態(失明、神経・臓器障害で介護が必要な状態、四肢の欠損など)になった場合に、保険金をローン残債の返済に充てるための保険です。

最近では死亡・高度障害状態以外の病気をカバーする「がん保障」や「三大疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)保障」といった特約付きの商品も増えています。

団信のメリットは、返済中に万一のことが起こっても、団信に加入していれば、残されたご家族は残高に関係なく返済の負担を負わずに済むということ。
翻っていえば、団信に加入しないリスクとは、返済中に万一のことが起こった場合に、残されたご家族が残債を負担することになるということです。

団信に加入しなくてもよいローンを利用するにしても、何かあっても返済が続けられる・あるいは一括で返済できるよう、備えておく必要があります。
リスクヘッジとしては、生命保険(団信と同じく、加入条件が緩和された「引受基準緩和型」があります)や勤務先の死亡保障、遺族年金などが考えられます。

ただし、生命保険では団信のようにローンの残債を全てまかなえる、とは限らない点に注意しましょう。
生命保険で支払われる保険金には上限があり、保険金が高額になるほど毎月の保険料も高くなります。
団信なしのフラット35+生命保険よりも、団信に加入した方が、経済的な負担は軽くなるケースが多いようです。

たとえば2023年2月現在、一般団信付きのフラット35の適用金利は1.880%程度です。
3,000万円を借りた場合、総返済額は4,097 万円、月々の支払額は9.8 万円となります(※ボーナス返済なしとして計算)

団信に加入しない場合、金利はここからマイナス0.2%となり1.680%となります。
3,000万円を借りた場合、総返済額は3,970 万円、月々の支払額は9.5万円。
団信付きとの差は、35年間の総額で127万円、月額でわずか3,000円です。

一方、(公財)生命保険文化センターの平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、一世帯当たりの年間振込保険料は平均で38.2万円。単純計算で、35年間で1337万円の保険料を支払うことになります。なお、普通死亡保険の保険金額は、平均で2255万円でした。

団信で住宅ローンを完済した場合には、その後の住居費の負担はなくなります。生命保険の見直しなどによって、より家計に余裕が生まれるかもしれません。
全員に当てはまるわけではありませんが、団信のほうが保障、お金の両面でメリットが大きいと言えるでしょう。

おわりに

住宅ローンと団信を契機に、保険やファイナンシャルプランの見直しをおこなう方も多いです。

リノベーションのひかリノベは、リノベーションの設計施工はもちろん、家探し、資金計画やローンのサポートもワンストップでご提供しています。

マイホームをご検討の方、お住まい計画と同時にライププランを見直して賢く住宅購入をしたいとお考えの方は、ぜひひかリノベにご相談ください。

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記事監修

尾高 等(宅地建物取引士)

宅地建物取引士の有資格者。住宅購入だけを目的とせず、その後も続く人生のファイナンシャルプランを長期的な視点から提案する。「かつては頭金が2割ないと住宅購入は難しく、多額の現金投資をしなければ理想の住まいはつくれませんでした。しかし歴史的な低金利や、100%融資も可能となった現在、マイホーム購入のあり方は多様化しています。新築、中古、マンション、戸建、いろいろな住居の選択肢がある中から本当に満足できる空間とは何なのか。一緒に探していきましょう」

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